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黄道吉日
こうどうきちにち
おうどうきちにち
作家
作品

泉鏡花

【婦系図】

「御令室の 思召 おぼしめし はいかがでごわりましょうか。実はな、かような事は、打明けて申せば、 貴下 あなた より御令室の御意向が主でごわりまするで、その御言葉一ツが、いかがの極まりまする処で、 推着 おしつ けがましゅうごわりますが、英吉君の母も、この御返事……と申しまするより、むしろ黄道吉日をば待ちまして、唯今もって、 東京 こちら 逗留 とうりゅう いたしておりまする次第で。はあ。御令室の御言葉一ツで、」

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泉鏡花

【革鞄の怪】

 しかし、ただいま、席をお立ちになった 御容子 ごようす を見れば、その時まで何事も御存じではなかったのが分って、お心遣いの時間が五分たりとも少なかった、のみならず、お 身体 からだ の一箇処にも あか い点も着かなかった事を、――実際、錠をおろした途端には、髪 一条 ひとすじ の根にも血をお出しなすったろうと思いました――この祝言を守護する、黄道吉日の手に感謝します。

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佐々木味津三

【旗本退屈男 第三話 後の旗本退屈男】

年々歳々、日を追うて次第に士風の遊惰に傾くのを痛嘆いたしまして、士気振興武道奨励の意味から、毎年この四月の月の 黄道吉日こうどうきちにちを選んで、何等か一つずつ御前試合を催す習慣であったのがそれですが、犬にのぼせ上がっていても、感心にその年中行事だけは忘れないとみえ、この年も亦二十四日の晴天を期して、恒例通り御前試合のお催しがある旨発表になりました。

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佐々木味津三

【右門捕物帖 子持ちすずり】

献上雪は加賀百万石の名物、同時にまた江戸名物の一つです。将軍家とても夏暑いのにお変わりはない。そのお口をいやすために、加賀大納言が、えつのう、百万石の威勢にかけて、冬、お国もとで雪を凍らせ、道中金に糸目をつけずにこれを江戸ご本邸に運ばせて、本郷のこのお屋敷内の雪室深くへ夏までたくわえ、土用さなかの黄道吉日を選んで柳営に献上するのが毎年の吉例でした。召しあがるのはせいぜいふた口か三口のことであろうが、おあがりになるおかたは八百万石の将軍家、献上するのは百万石の大納言、事が大きいのです。それをずばりと、ただのひとにらみでにらんだ名人の がんのさえもまた、たぐいなくすばらしいことでした。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28