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満目荒涼
まんもくこうりょう |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【水鳥亭】
「近代戦の上陸地点の激戦の跡というものは、満目荒涼、山の形も川の流れも変るでしょう。草も木も、小鳥も虫も、何もありません。どこに伊東の町があったか、見当もつかないでしょう。あなたの地所が川か沼にならなければ幸せというものですな。温泉町として復活するにも二十年はかかるでしょう。そのころは、私は死んでいるでしょうな」
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佐々木味津三 |
【旗本退屈男 第八話 日光に現れた退屈男】
そうしていち夜があけました。――深い霜の朝です。つづいてまたひと夜があけました。――やはりいちめんに深い霜です。 三日目の朝がさらに訪れました。――満目荒涼いちめんに白々として、やはり深い霜です。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 京の夢おう坂の夢の巻】
信神渡航者ガぷりもすニ到リ着セル時ハ、北米ノ天ハ寒威猛烈ナル極月ノ、シカモ三十日ナリキ。彼等ノ胸臆ハ火ノ如ク燃エシカド、周囲ノ天地ハ満目荒涼タル未開ノ厳冬也。シカモコノ寒キ天地ノ中ニ、掘立小屋ヲ作リテ、辛ウジテ彼等ノ肉体ヲ入レテ、而シテ、生活ノ第一歩ヨリ踏ミ出サザルベカラズ、ソノ艱苦経営知ルベキナリ。
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永井隆 |
【長崎の鐘】
八月十日の太陽は、いつものように平凡に金比羅山から顔を出したが、その光を迎えたのは美しい浦上ではなくて、灰の浦上だった。生ける町ではなくて死の丘であった。工場は無造作に圧しひしゃがれて煙突は折れ、商店街は |
井上円了 |
【西航日録】
シンガポールはマラッカ海峡咽喉の地にありて、実に枢要の港口なり。万国の船これに出入し、万国の人ここに輻湊し、その盛況これを十四年前に比するに、ほとんど別天地の観あり。その地赤道に接すといえども、常に濃陰日光をとざし、ときに驟雨暑気を洗い、やや清涼を覚ゆ。シャンハイ以西ここに至るまでの間、沿海の諸山、みな赤土を現出し、往々石骨を露出し、一つとして樹木の鬱蒼たるものなく、満目荒涼、殺風景を極む。あたかも東洋諸邦の形勢を写出せるがごとし。
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