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明明白白/明々白々
めいめいはくはく |
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作家
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作品
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夏目漱石 |
【坊っちゃん】
考え直すって、直しようのない明々白々たる理由だが、狸が蒼(あお)くなったり、赤くなったりして、可愛想(かわいそう)になったからひとまず考え直す事として引き下がった。赤シャツには口もきかなかった。どうせ遣っつけるなら塊(かた)めて、うんと遣っつける方がいい。
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萩原朔太郎 |
【名前の話】
名は性を現はすといふのは、どういふ所に根拠してゐるのか知らないが、剛蔵必しも剛直人でなく、貞子必しも貞女でないことは、多数の実例によつて明々白々のことである。しかし徳川家康といふ名が、いかにも老獪堅実の政治家を聯想させ、明智光秀といふ名が、いかにも神経質で知性的インテリ武人を聯想させるのは事実である
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幸田露伴 |
【蒲生氏郷】
然るに伊達勢が本気になって案内者の任を果し、先に立って一揆(いっき)対治に努力しようと進む意の無いことは、氏郷勢の場数を踏んだ老功の者の眼には明々白々に看えた。すべて他の軍の有して居る真の意向を看破することは戦に取って何より大切の事であるから、当時の武人は皆これを鍛錬して、些細(ささい)の事、機微の間にも洞察することを力(つと)めたものである。
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太宰治 |
【花吹雪】
何を以てか我を注意人物となす、名誉毀損なり、そもそも老婆心の忠告とは古来、その心裡の卑猥(ひわい)陋醜(ろうしゅう)なる者の最後に試みる牽制の武器にして、かの宇治川先陣、佐々木の囁(ささや)きに徴してもその間の事情明々白々なり、いかにも汝は卑怯未練の老婆なり、殊にもわが親愛なる学生諸君を不良とは何事、義憤制すべからず、
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福沢諭吉 |
【新女大学】
而して其不和争擾(そうじょう)の衝(しょう)に当る者は其時の未亡人即ち今日の内君にして、禍源は一男子の悪徳に由来すること明々白々なれば、苟(いやしく)も内を治むる内君にして夫の不行跡を制止すること能わざるは、自身固有の権利を放棄して其天職を空うする者なりと言わるゝも、弁解の辞はある可らず。嫉妬云々の俗評を憚りて萎縮するが如き婦人畢生の恥辱と言う可し。
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田中正造 |
【非常嘆願書】
孔子ハ之を仁と名け基督ハ之を愛と称せり。二者名称の差ありと雖も其隣人を愛するの極致に至りてハ未だ曾て反するものに非ず。伏して惟るに至尊施政の大道亦実に仁愛に淵源するあるハ明々白々の事に属す。
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土井晩翠 |
【野口英世博士の生家を訪ひて (野口記念館の設立を希望す)】
彼が古今を通じて日本の生める最大人物の一人であることは明々白々である。一九一三年オーストリーのヰインで、萬有科學大會第八十五回が開かれた時、招聘されてアメリカから渡つた野口は、同會で三大講演をやつた、そして全歐の學界に鳴りひびいてゐるフオン・ミユーラー(同會々長)に深大の敬禮を拂はれた。
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平林初之輔 |
【文学の本質について(一)】
自然主義前派の形而上学的理論家は、まるで文学に社会的性質があるといふことがわかると、文学の難破でゞもあるかのやうに力んで、文学には社会的性質なしと放言するに至つた。ついで、この理論のもつ矛盾、明々白々な破綻に気附くと、こん度は、彼等はなる程文学には社会的性質はある。 |
坂口安吾 |
【深夜は睡るに限ること】
深夜のメイ想などと、浅慮な言を発してはならぬ。なんたる不健全なヤカラであるか。白足袋の首相の如く、余も亦、汝らを叱るぞよ。健全。健全。浦島次郎となるや、真理は自ら明々白々となるのである。
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宮本百合子 |
【文学精神と批判精神】
批判の精神という声さえ、憎悪をもって聞かれた当時の心理も、こう見て来れば肯けよう。批判の精神が人間精神の不滅の性能であることやその価値を承認することは、とりも直さず客観的観照の明々白々な光の下に自身の自我の転身の社会的文学的様相を隈なく曝すことになり、それは飽くまで主観的な出発点に立っている精神にとって決して愉快なことであり得ない。
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末弘厳太郎 |
【新たに法学部に入学された諸君へ】
法学教育は特にそういう力の養成を目的としているのであるから、その教育を受けた人間がそういう力を必要とする地位に就くのは当然であって、何の不思議もない。しかるに、ひとり三上博士に限らず、法学教育の真面目に通暁しない人々のあいだには、とかくこの明々白々たる事理が十分理解されていないのである。
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖 へび使い小町】
――河童権は口からいっぱい、どろどろの黒血を吐きながら、すでに変死を遂げていたからです。それもちゃぶ台の上には飲みさしの一升どくりと大茶わんが置かれたままでしたので、むろんのことに最期を遂げたのはほんの一瞬まえに相違なく、ほかに一品も食べ物のないところから推定すると、変死の正体、毒死の種は、明々白々それなるとくりの中に仕掛けられてあることが一目瞭然(りょうぜん)でしたから、事件の急転直下と新規ななぞの突発に、名人の目の烱々(けいけい)とさえまさったのは当然、伝六のうろたえて音をあげたのもこれまた当然でした。
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黒岩涙香 |
【血の文字】
聞終りて警察長は「是で最う何も彼も明々白々だ」と呟き予審判事も同じ思いと見え「左様(さよう)、明々白々です、外に何(ど)の様な事情が有(あろ)うとも藻西太郎が此事件の罪人と云う事は争われぬ」と云う、余は実に驚きたれど猶(な)お合点の行かぬ所あり横鎗を入んため将(まさ)に唇頭(くちびる)を動さんとするに目科も余と同じ想いの如く余よりも先に口を開き「是(これ)を明々白々とすれば藻西は伯父を殺した後で自分の名を書附て行た者と思わねばならぬ、其様な事は何うも無い筈(はず)だが、警「無さ相(そう)でも好(よ)いじゃ無いか当人が白状したと云えば夫から上確な事は無い、
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坪井正五郎 |
【コロボックル風俗考】
遺跡(ゐせき)を實踐(じつせん)して考ふるも、之を現存(げんそん)未開(みかい)人民の所業に徴するも、貝塚に於ける穿鑿(せんさく)が食物原料調査(しよくもつげんれうてうさ)に益有る事、實に明々白々なり。我々は牛肉(ぎうにく)を食(くら)へども我々の邸内(ていない)に在る物捨て塲に於て牛骨を見る事は期(き)し難(がた)し。
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甲賀三郎 |
【黄鳥の嘆き ――二川家殺人事件】
検事局は告発は受理して呉れるとしても、果して検挙するだろうか。検挙しても起訴出来るだろうか。野村には重武の罪が明々白々のように思われた。然し、彼を罰せしむべく、十分の自信がないのだ。 |
海野十三 |
【地獄の使者】
「だってそれじゃあ君、まさかあなたの幽霊が指紋をつけやしまいし、説明がつかないじゃないですか。あなたがこの缶を手に持ったことは明々白々なんだ」「あとでよく考えてみますけれど、全くあたしには合点がいかないんです」 |
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