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苗字帯刀
みょうじたいとう |
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作家
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作品
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島崎藤村 |
【夜明け前 第一部上】
「ホ。苗字帯刀御免とありますね。」「まあ、そんなことが書いてある。」 「吉左衛門さん一代限りともありますね。なんにしても、これは名誉だ。」 と金兵衛が言うと、吉左衛門はすこし苦(にが)い顔をして、 「これが、せめて十年前だとねえ。」 ともかくも吉左衛門は役目を果たしたが、同時に勘定所の役人たちがいやな臭気(におい)をもかいで帰って来た。苗字帯刀を勘定所のやり繰り算段に替えられることは、吉左衛門としてあまりいい心持ちはしなかった。 |
清水紫琴 |
【葛のうら葉】
思へば我は、よくよく薄命の筈に生まれ来し身なりけむ。我が父君の家といふは、農家ながらも我が故郷にありては、由緒ある旧家にて、維新前には、苗字帯刀をも許されし家系なりとか。さるを我が父君は御運拙なく在(いま)して、そが異腹の兄上、我が為には伯父君なる人の為に、祖先より伝はりし家督をも家名をも、併せて横領せられたまひて、我がその人の一人娘として生まれ出し頃には、父君も母君も、日毎に自ら耕したまひ、辛ふじて衣食の料(しろ)を支へたまふほどの、貧しき御身になり下りゐたまへしなりとか。
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中里介山 |
【大菩薩峠 白根山の巻】
「泣いてるな。これ貴様も、苗字帯刀(みょうじたいとう)許されの家に生れた男ではないか、泣面(なきづら)かかずと潔(いさぎよ)く申し上げてしまえ」
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岡本綺堂 |
【青蛙堂鬼談】
そうして子孫連綿として徳川時代までつづいて来たのであるから、土地のものは勿論、代々の領主もその家に対しては特別の待遇をあたえて、苗字帯刀を許される以外に、新年にはかならず登城して領主に御祝儀を申上げることにもなっていた。
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相馬愛蔵 |
【一商人として ――所信と体験――】
私の家は穂高村でもずいぶん古く、家で祀った産土神が現在村の氏神になっているほどで、祖父安兵衛までは代々庄屋を勤め、苗字帯刀御免、相馬という姓から見ても、また家伝の接骨術などあるのを見ても、ただの百姓ではないことは判っていたが、土蔵の梁から一巻の記録があらわれたのは、後に私たちが東京へ出てからのことで、
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