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内典外典
ないてんげてん
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作家
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作品
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【鼻】
最後に、内供は、内典外典の中に、自分と同じような鼻のある人物を見出して、せめても幾分の心やりにしようとさえ思った事がある。けれども、目連や、舎利弗の鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹や馬鳴も、人並の鼻を備えた菩薩である。内供は、震旦の話の序に蜀漢の劉玄徳の耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
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【死者の書】
郎女の手に、此巻が渡った時、姫は端近く膝行り出て、元興寺の方を礼拝した。其後で、
難波とやらは、どちらに当るかえ。
と尋ねて、示す方角へ、活き活きした顔を向けた。其目からは、珠数の珠の水精のような涙が、こぼれ出ていた。
其からと言うものは、来る日もくる日も、此元興寺の縁起文を手写した。内典・外典其上に又、
大日本びとなる父の書いた文。指から腕、腕から胸、胸から又心へ、沁み沁みと深く、魂を育てる智慧の這入って行くのを、覚えたのである。
大日本日高見の国。国々に伝わるありとある歌諺、又其旧辞。第一には、中臣の氏の神語り。藤原の家の古物語り。多くの語り詞を、絶えては考え継ぐ如く、語り進んでは途切れ勝ちに、呪々しく、くねくねしく、独り語りする語部や、乳母や、嚼母たちの唱える詞が、今更めいて、寂しく胸に蘇って来る。
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Last updated : 2024/06/28