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内憂外患
ないゆうがいかん |
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作家
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作品
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森鴎外 |
【津下四郎左衛門】
果して然らば、啻(たゞ)に国体を維持し、外夷の軽侮を絶つのみならず、天下之士、朝廷改過の速(すみやか)なるに悦服し、斬奸の挙も亦迹(あと)を絶たむ。然らずんば奸臣朝(てう)に満ち、乾綱(けんかう)紐(ひも)を解き、内憂外患交(こも/″\)至り、彼(かの)衰亡の幕府と択(えら)ぶなきに至らむ。
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島崎藤村 |
【夜明け前 第一部下】
「天明七年以来の飢饉(ききん)でも襲って来るんじゃないか。」だれが言い出すともないようなその声は半蔵の胸を打った。社会は戦時の空気の中に包まれていて、内憂外患のうわさがこもごもいたるという時に、おまけにこの天災だ。 |
幸田露伴 |
【運命】
明(みん)亡び、清(しん)起りて、乾隆(けんりゅう)元年に至って、はじめて恭憫恵(きょうびんけい)皇帝という諡(おくりな)を得たまえり。其(その)国の徳衰え沢(たく)竭(つ)きて、内憂外患こも/″\逼(せま)り、滅亡に垂(なりなん)とする世には、崩じて諡(おく)られざる帝(みかど)のおわす例(ためし)もあれど、
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清水紫琴 |
【移民学園】
いや父御といへば、その後の様子をとんと聞かずにゐたが、今だに便りはない事か。これも気に掛からぬではなけれども、内憂外患さうさうは届かぬから、内事はそなたに任せておいたが、これは不思議に気にせぬなと。ついでながらにいひたる詞の、清子が胸にはひつしとばかり。感謝に溶けし塊の、再び込み上げ来るをば、じつと押さえて何気なく。
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海野十三 |
【予報省告示】
人暦六千五百五十年
世界の混乱は極度に達する。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 壬生と島原の巻】
暗殺が流行(はや)る、おたがいにめぼしい奴を切り倒して勢力を殺(そ)ぐ、京都の町には生首(なまくび)がごろごろ転がっている。新たに守護職を承った会津中将の苦心というものは一通りでない。病躯(びょうく)を起して、この内憂外患の時節に、一方には倒れかけた幕府の威信を保ち、一方には諸国の頑強な溢(あぶ)れ者(もの)を処分してゆく、悪(にく)まれ役(やく)は会津が一身に引受けたのであります。
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正岡容 |
【わが寄席青春録】
当時の私は一カ月の生活が乱酒さえしなければ楽にいけるという程度だった上に、前にもいう金づかいの下手な男だったからしょせんその才覚はできなかった。その上、そんなこんなで師父圓馬の一家ともスムーズにはいかなくなり、内憂外患だんだん私は心の苦悩を忘れるため四六時中酒を煽り、とうとう酒気が絶れると舌がもつれ、手が痺れ、しごとができなくなり、ひどいアルコール中毒患者となってしまっていたのだから余計どうにも仕様がない。
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相馬愛蔵 |
【私の小売商道】
ことにあの呉服屋、小間物屋など小面倒な女子供を相手の番頭や小僧の妙手腕に至っては、実に感嘆措く能わざるものがある。専門の外交官も三舎を避けねばならぬ。かくの如く内憂外患の難局に処して種々の修養を積み、又幼少の時代よりその事業に就き、しかも様々の経験と訓練を経ているので、たとえ中途で事業に蹉跌することがあっても、
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正岡容 |
【小説 圓朝】
圓朝二十九の夏がきた。ペルリの黒船来航以来、にわかに息詰まるような非常な匂いを見せだしてきていた世の中は、相次ぐ内憂外患に今や何とも名状しがたい物騒がしさはほとんどその頂点にまで達していた。水戸の天狗騒ぎ、長州軍の京討入、次いでその長州征伐、黒船の赤間ヶ関大砲撃、そうしてさらにこの六月には公方様は一切を天朝様へお還し申し上げなければ。そこまで事態は切迫していた。そうした目狂おしいばかりの非常時歳時記の真っ只中で、どの芝居へも、どの寄席へも、恐しいほどよくお客がきていた。 |
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