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南無三宝
なむさんぼう
作家
作品

太宰治

【饗応夫人】

 お客たちの来ないうちにと、私はその日にもう荷作りをはじめて、それから私もとにかく奥さまの里(さと)の福島までお伴(とも)して行ったほうがよいと考えましたので、切符を二枚買い入れ、それから三日目、奥さまも、よほど元気になったし、お客の見えないのをさいわい、逃げるように奥さまをせきたて、雨戸をしめ、戸じまりをして、玄関に出たら、
  南無三宝(なむさんぽう)!
  笹島先生、白昼から酔っぱらって看護婦らしい若い女を二人ひき連れ、
「や、これは、どこかへお出かけ?」

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泉鏡花

【高野聖】

 背戸(せど)と思うあたりで再び馬の嘶(いなな)く声。
(どなた、)と納戸(なんど)の方でいったのは女じゃから、南無三宝(なむさんぼう)、この白い首には鱗(うろこ)が生えて、体は床(ゆか)を這(は)って尾をずるずると引いて出ようと、また退(すさ)った。

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泉鏡花

【陽炎座】

はたた、はたた神。
南無三宝(なむさんぽう)、電光に幕あるのみ。
「あれえ。」と聞えた。
瞬間、松崎は猶予(ためら)ったが、棄ておかれぬのは、続いて、編笠した烏と古女房が、衝(つ)と幕を揚げて追込んだ事である。

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国枝史郎

【赤坂城の謀略】

「怪しい曲者」
「射て、討ちとれ!」
  声に応じて弦鳴(つるな)りがし、正成の左臂に矢があたった。
南無三宝
  と正成は思った。
  が、不思議にも矢が立っていない。
(はてな?)

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押川春浪

【本州横断 癇癪徒歩旅行】

 そこに背後(うしろ)に人の足音が聴こえたので、南無三宝! 見付けられたかと、大急ぎで煙草畑から首を突出してみると、幸いに嘔吐(へど)はくところは見付けられず、そこには六十ばかりの梅干婆(ばあ)さん眼玉を円(まる)くして、あっちに駆け行く一行を眺めつつ、
「何事が起っただね」と、さも驚いた顔。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28