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年百年中
ねんびゃくねんじゅう |
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作家
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作品
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菊池寛 |
【出世】
それは、判任官が高等官になり勅任官になるよりも、もっと仕甲斐(しがい)のある出世かも知れなかった。獣か何かのように、年百年中薄闇に蠢いているのとは違って、蒲団の上に座り込んで、小奇麗な切符を扱っていればいい。月給の昇額はほんのわずかでも、あの男にとっては、どれほど嬉しいか分からない。
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坂口安吾 |
【土の中からの話】
伊太利喜劇というものがあって、これは日本のにわかのように登場人物も話の筋もあらかたきまったもので、例のピエロだのパンタロンのでてくる芝居だ。可愛い女の子がコロンビーヌ。意地わるの男がアルカンなどときまっていて、ピエロはコロンビーヌにベタ惚れなのだがふられ通しで、色恋に限らず、何でもやることがドジで星のめぐり合せが悪くて、年百年中わが身の運命のつたなさを嘆いているのである。
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佐藤紅緑 |
【ああ玉杯に花うけて】
普通の教師は学校以外の場所では中折帽(なかおれぼう)をかぶったり鳥打帽(とりうちぼう)に着流しで散歩することもあるが、校長だけは年百年中(ねんびゃくねんじゅう)学校の制帽(せいぼう)で押し通している、白髪のはみだした学帽には浦和中学のマークがいつも燦然(さんぜん)と輝いている。校長のマークもぼくらのマークも同じものだと思うと光一はたまらなくうれしかった。
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河上肇 |
【小国寡民】
他国を侵略することにより主として利益するものは、少数の支配階級権力階級に止まり、それ以外の一般民衆は、たか/″\そのおこぼれに霑(うるほ)ふに過ぎず、しかも年百年中、圧制政治の下に窒息してゐなければならぬ。それは決して幸福なものではありえないのだ。
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沖野岩三郎 |
【バークレーより】
声はやさしいが雲突くような大男だ。でっくり肥えて、顔は日に焼けて焦茶色である。爛々たる眼光は常に何物かを見つめている習性の持主だという事が誰にも知られる。どうしても年百年中荒潮の中に浪と闘う老船長である。年は五十四五でもあろう。
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