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人情風俗
にんじょうふうぞく
作家
作品

二葉亭四迷

【エスペラントの話】

其年にウォラビュックといふ新発明の国際語が出来た、かの符号などから視れば余程気が利(き)いてゐるけれど、惜しい事には余り人為的で、細工に過ぎてゐて之を人情風俗の違ふ各国人の口へ掛けたら、どうやら支離滅裂になつて了(しま)ひさうで、どうも申分が多いが、外に之に代るべきものもないから、一時は相応に研究する者もあつた、

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坂口安吾

【安吾人生案内 その二 大岡越前守】

巷間いたるところにこれ式の酔漢の愛情を見かけることのできる性質のもので、当時二十九という小娘とちがって立派な成人でありながら、ありきたりの市井の人情風俗に知識も理解もないのが淋しいねえ。

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織田作之助

【東京文壇に与う】

彼等の関心は、東京の文化と、東京を通じて輸入される外来思想とのみに存して、自分たちの故郷の天地山川や人情風俗は、眼中にないかの如くである。

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河上肇

【小国寡民】

「新鮮な果物を食はうとする者は、必ずコーカサスへ行かなければならない」と称されてゐる。そればかりか、「絵を描かうとする者も、変つた人情風俗に接しようとする者も、湯治のためには病人も、みな必ずコーカサスへ行かなければならない」と称されてゐる。

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宮本百合子

【人生の共感 ――求められる文学について――】

 今日の文学に何かを求めている心、それはこういう心なのではなかろうか。そうだとすれば、人情風俗のあらましを、よしやそのはしりのところでつかまえて作品に料って見ても、求める何かはみたされない。野望ある作家が、現実に対する自分のある態度を強烈な線で描き出しても、やはり渇いた心は、それではないものを、と求めて叫ぶであろう。

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正岡容

【寄席行燈】

従ってその頃の大阪の落語家は、春がくると必ず春の行事を材とした落語を演り、マザマザとそうした市井の人情風俗を活写してくれた。

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松本泰

【日蔭の街】

東洋の人情風俗に精通せる、係累(けいるい)なき青年紳士を求む、当方住込、 履歴書を添え申出られたし。(姓名在社三六〇号)

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戸坂潤

【思想と風俗】

 でこうした意味にまで深められた立場から見た風俗は、文学的な意味に於ける風俗だ。その意味での趣味も亦、文学の本質だとさえ考えられる(シュッキングなどは問題ではあるがとに角そういう主張の見本の一つにはなる)。無論風俗は吾々が旅をして世界の人情風俗を見聞して見たいと思うように、客観的なそして末梢的でさえある肉づけを持った具象物だ。

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小出楢重

【油絵新技法】

画家が眼に映じた地球の奥行きをそのままに表現せんとする。だからこの点では日本画の自由にして百里の先きの人情風俗までも現し得る仕事に対しては頗(すこぶ)る不便不自由なものである。

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中里介山

【大菩薩峠 農奴の巻】

 七兵衛はすっかり安心しきって、人混みに隠れて湯にぴったりとつかり込んでいると、おのずから周囲の人々の人情風俗がうつってくる。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
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Last updated : 2024/06/28