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磊落高潔
らいらくこうけつ
作家
作品

正岡子規

【俳人蕪村】

秀吉が奥州を「大しゅ」と書きしことさえ思い出されてなつかし、蕪村の磊落らいらくにして法度に拘泥せざりしことこの類なり。彼は俳人が家集を出版することをさえ厭えり。彼の心性高潔にしての俗気なきこともって見るべし。しかれども余は磊落高潔なる蕪村を尊敬すると同時に、小心ならざりし、あまり名誉心を抑え過ぎたる蕪村を惜しまずんばあらず。蕪村をして名を文学に揚げ誉を百代に残さんとの些の野心あらしめば、彼の事業はここに止まらざりしや必せり。彼は恐らくは一俳人に満足せざりしならん。

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Last updated : 2024/06/28