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冷嘲熱罵
れいちょうねつば
作家
作品

木下尚江

【火の柱】

 吾妻は目を閉ぢ、歯を噛締くひしめて、得堪へぬ悲憤を強ひておさへつ「諸君、僕は実に諸君に対する面目が無いです、――従来これまで僕は篠田先生に阿媚あびするとか、諂諛てんゆするとかツて、諸君の冷嘲熱罵を被つたですが、僕は だ先生を敬慕する余りに、左様な非難をも受くることになつたのです、然るに諸君、僕は全くあざむかれて居ました――」吾妻はハンケチもて眼をおほひつ「僕が諸君の罵詈ばり攻撃をさへ甘んじて敬愛尊信した彼は――諸君、――売節漢であつた、うたがひもなき間諜かんてふであつた

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Last updated : 2024/06/28