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霊肉一致
れいにくいっち |
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作家
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作品
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二葉亭四迷 |
【平凡】
之を霊肉の衝突というか? しからば、霊肉一致したら、如何(どう)なる? 男女相知るのを怕(おそ)ろしいとも恥かしいとも思わなくなるのか? 畜生(ちくしょう)と同じ心持になるのか?
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二葉亭四迷 |
【私は懐疑派だ】
文学の方で最近の傾向はシンボリズムとか、ミスチシズムとか云うのだが、イズムの中(うち)に彷徨(うろつ)いてる間(うち)や未だ駄目だね。象徴主義で云う霊肉一致も思想だけで、真実一致はして居らんじゃないか。で、私は露語の所謂ストリャッフヌスト(身震いする)と云ったような時代……つまりこびり着いて居る思想の血を払って、新たな清い生活に入ろうとする過渡の時代のように今を思う。思想じゃ人生の意義は解らんという結論までにゃ疾くに達しているくせに、まだまだ思想に未練を残して、やはり其から蝉脱することが出来ずに居るのが今の有様だ。文学が精神的の人物の活動だというが、その「精神」が何となく有り難く見えるのは、その余弊を受けて居るんで、霊肉一致どころじゃない、よほど霊が勝(まさ)ってる証拠だ。だからシンボリストでも、思想では霊肉一致だろうが自分の存在では未だ其処までは行って居らんよ。
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倉田百三 |
【愛と認識との出発】
恋の本質はかかる憧憬,願い、祈祷のなかにあって、けっして性欲のなかにはない。私はまだ肉交の経験なき純潔なる青年が、漫然たる霊肉一致の思想に甘やかされてその純潔を失うことをかぎりなく遺憾に思うものである。
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岡本かの子 |
【恋愛といふもの】
さて、私はすでに、恋愛の根底に、厳として性慾の横はれるを云ひました。では、恋愛の一分野たる精神意慾、ロマンチツクな詩的感激は必ず肉体慾にのみ支配されてあるべきものであらうか、否、その見解もまた当つたものではない、結局は霊肉一致、それをくりかへして云ふならば、最もロマンチツクなしかも最も現実に即した人生行路の途上に於ける詩篇なのであります。
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長谷川時雨 |
【遠藤(岩野)清子】
廿八歳まで、霊肉一致の、恋愛至上主義に生きぬこうとした意志の強い女性の、ほんとにこれは、断片を語るにすぎないが、彼女が、泡鳴氏との同居に、頑固(かたくな)なほど身を守っていた明治四十三年は、幸徳(こうとく)事件があったりした時だった。
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