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連日連夜
れんじつれんや
作家
作品

芥川龍之介

【開化の殺人】

「二月×日、嗚呼予は今にして始めて知る、予が子爵を殺害せざらんが為には、予自身を殺害せざる可らざるを。されど明子は如何(いかん)。」
  子爵閣下、並に夫人、こは予が日記の大略なり。大略なりと雖(いへど)も、予が連日連夜の苦悶は、卿等必ずや善く了解せん。予は本多子爵を殺さざらんが為には、予自身を殺さざる可らず。

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太宰治

【右大臣実朝】

将軍家はいまさらながら鴻大の御朝恩に感泣なされて、御勅使忠綱さまに対して実に恭しく御礼言上あそばされ、御饗応も山の如く、この日にはまた池前兵衛佐為盛さま、右馬権頭頼茂さまなども京より御下著になり、このお方たちにもまたお手厚い御接待を怠らず、御式の日に至るまで連日連夜、御饗宴、御進物など花美を尽し、ために費用も莫大なるものになりました御様子で、関東の庶民は等しくその費用の賦課にあづかり、ひそかに将軍家をお怨み申した者も少からずございました由、風のたよりに聞き及んで居ります。

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坂口安吾

【二流の人】

折から印度副王からの使節なども到着して京都は気色の変つた珍客万来、人々は秀吉の天下を謳歌したが、五ヶ月間の待ちぼうけ、この間の使節一行をなだめるために行長と義智は百方陳弁、御機嫌をとりむすぶのに連日連夜汗を流し痩せる思ひをしたのであつた。

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夢野久作

【白菊】

 ……虎蔵が人を殺した……しかも連続的に……そうしてまだ捕まらずにいる……という事実に対して、毎日毎日の新聞紙面が、如何(いか)に最大級の驚愕と戦慄を続けて来たか。全北海道の住民が、そうした脱獄囚の姿に毎夜毎夜どれほど魘(うな)されて来たか、そうして全道の警察の神経と血管が、連日連夜、どれ程の努力に疲れ果てて来たことか……。

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海野十三

【独本土上陸作戦 ――金博士シリーズ・3――】

「あほらしい。お前さんが今、ロンドン見物の標題で云々(うんぬん)といったじゃないか。お前さんがたのここんところは、連日連夜のドイツ軍の空爆で、だいぶん焼きが廻っていると見える」

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宮本百合子

【一票の教訓】

 総選挙がすんで、ほぼ二週間経とうとしている。今日、わたしたちが日々目撃している光景は、全く独特なものである。ドイツと日本の食糧事情は最悪であると、警報がかかげられている。その記事の傍らに見るものは、連日連夜にわたる幣原、三土、楢橋の政権居据りのための右往左往と、それに対する現内閣退陣要求の輿論の刻々の高まり、さらにその国民の輿論に対して、楢橋書記翰長は「院外運動などで総辞職しない」「再解散させても思う通りにする」と、どんな背後の力をたのんでのことか、心あるすべての人々を憤らせる居直りぶりが示されている。

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長谷川時雨

【竹本綾之助】

 明治十八年――世にいう鹿鳴館(ろくめいかん)時代である。上下挙(こぞ)って西洋心酔となり、何事にも改良熱が充満していた。京枝一座も御多分(ごたぶん)に洩(も)れず、洋装で椅子(いす)にかけ卓(テーブル)にむかって義太夫を語った。そんな変ちきな容(かたち)も流行といえば滑稽(こっけい)には見えず、かえって時流に投じたものか連日連夜の客止めの盛況であった。が、勇みたった玉之助のお園の初目見得(はつめみえ)は、思いがけぬ妬(ねた)みを買った。

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林不忘

【煩悩秘文書】

 一ぽんの路を下りてくる多人数の跫音。
  手拭いをぶら提げた丸腰の侍たちで、だいぶ前から藤屋の下座敷に陣取って、連日連夜騒いでいる連中である。

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谷譲次

【踊る地平線 白い謝肉祭】

 この週末旅行(ウィイキ・エンド)のなかで最も上等(クラシイ)なのが、country home へ招いたり招かれたりして、宴会・舞踏・カアド・テニスのパアティを連日連夜ぶっつづける種類である。何しろ爛熟し切った物質文明を無制限に享楽する時代と場処のことだ。

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嘉村礒多

【途上】

夜中の喚(わめ)き罵(のゝし)る声に驚いて雨戸まで開けた近所の人達は朝には肩を並べて牛を引いて田圃(たんぼ)に出て行く私共父子を見て呆気(あつけ)にとられた。臆病に、大胆に、他を傷つけたり、疑つたり、連日連夜の紛争と愛情の交錯とはいよ/\こじれて、長時の釈(と)け難い睨(にら)み合(あ)ひの状態になつた。

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林不忘

【丹下左膳 こけ猿の巻】

こうやってわれら一同、いま文句が出るか、きょうにも苦情をもちこんでまいるか、何か申して来たら、それを機会に、この道場をこちらの手に納めてやろうと、かく連日連夜したい三昧(ざんまい)の乱暴を働いて、いわばこれでもか、これでもかと喧嘩を吹っかけておりますのに、きょうまでじっとこらえて、なんの音沙汰(さた)もなかったところは、いや、なかなかどうして、敵ながらさる者。

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Last updated : 2024/06/28