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再起不能
さいきふのう |
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作家
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作品
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岸田國士 |
【誰でもない……自分でもない】
根本保枝は結婚生活をだんだん重荷に感じだした女の一人でした。二十二のとき、勧めるひとがあつて型どほりの見合結婚をし、その頃中学の教師をしてゐた夫の薄給をおぎなふ目的で、自分もさる女学校の家事を受持つてみたのですが、間もなく子供ができ、通勤は無理といふことになつて、いろいろ考へてゐる最中、夫の卯吉が胸の病気にかゝり、治癒が思はしくいかぬばかりか、たうとう再起不能の宣告を受けるといふ始末で、彼女は多少自信のある毛糸編物を手内職にして一家の生計を立てなければなりませんでした。 |
坂口安吾 |
【街はふるさと】
放二は疲れきっていた。そして、疲れすぎると、尚さら寝つかれなくなる今日このごろを考えて、あるいは、死期とまではいかなくとも、再起不能の状態に近づいているのではないかと思われるのであった。
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