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塞翁乃馬/塞翁の馬
さいおうのうま
作家
作品

太宰治

【竹青 ――新曲聊斎志異――】

むかし春秋戦国の世にかの屈原くつげんも衆人皆酔い、我ひとめたり、と叫んでこの湖に身を投げて死んだとかいう話を聞いている、乃公おれもこの思い出なつかしい洞庭に身を投げて死ねば、あるいは竹青がどこかで見ていて涙を流してくれるかも知れない、乃公を本当に愛してくれたのは、あの竹青だけだ、あとは皆、おそろしい我慾の鬼ばかりだった、人間万事塞翁の馬だと三年前にあのお じいさんが言ってはげましてくれたけれども、あれは嘘だ、不仕合せに生れついた者は、いつまでっても不仕合せのどん底であがいているばかりだ、これすなわち天命を知るという事か、

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永井隆

【ロザリオの鎖】

 私は私の前にラッパを吹いたのだった。右手のなすところは左手どころか群衆に見せびらかしてやったものだ。教会の事業として、神のご光栄のためにと口では宣伝していたけれども事実は私の事業として、私の名誉のために行なっていたのである。教会の名を利用し、神をだしに使って私の名を売ったのだ。それのみではない。将来の百倍の報いをあてにして施したのだ。貧しい人々を訪れていろいろの親切を尽くしたかもしれないが、そのときの私の言動に、将来の報恩を期待する何物かがあったのではなかろうか?──なあに、困るときはお互いさまですよ。人間万事塞翁の馬、あなただって今に成功しますよ。私も落ちぶれることがないとも限らない。まあ助けられたり、助けたり、これが浮き世の人情です。──そんなことをきっと言ったにちがいない。

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違星北斗

【北斗帖】

塞翁の馬で今年も暮れにけり

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28