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妻子眷属
さいしけんぞく
作家
作品

三遊亭圓朝
鈴木行三校訂・編纂

【菊模様皿山奇談】

僧「いや/\世間は無常のもので、実に夢幻泡沫でじつなきものと云って、実はまことに無いものじゃ、世の人は此のらんによって諸々もろ/\貪慾執心どんよくしゅうしんが深くなって名聞利養みょうもんりように心をいらってむさぼらんとする、是らは只今生こんじょうの事のみをおもんぱかり、旦暮あけくれ妻子眷属さいしけんぞく衣食財宝にのみ心を尽して自ら病を求める、人には病は無いものじゃ、

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泉鏡花

【春昼】

 利のつく金子かねを借りて山を買う、木をりかけ、資本もとでつかえる。ここで材木を抵当ていとうにして、また借りる。すぐに利がつく、また伐りかかる、資本もとでつかえる、また借りる、利でござろう。借りた方は精々せっせっり出して、貸元かしもとの店へ材木を並べるばかり。追っかけられて見切って売るのを、安く買い込んでまたもうける。行ったり、来たり、家の前を通るものが、金子かねを置いては失せるのであります。
 妻子眷属さいしけんぞく一時いっときにどしどしとえて、人はただ天狗てんぐが山を飲むような、と舌を巻いたでありまするが、かげじゃ――その――くわつえ胴震どうぶるいの一件をな、はははは、こちとら、その、も一ツのかめしゅの方だって、手をおッつけりゃ血になるだ、なぞと、ひそひそばなしるのでござって、」

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木下尚江

【臨終の田中正造】

此に於て一件全く落着を告げたるが、此事件の起りてより前後五年の久しきに亙り、村々名主等苟も此事件に関係あるもの、其間の運動費に巨額の金銭を投じたれば、落着後或は田畑を売り或は家屋敷を売り、妻子眷属また為めに離散するの惨状を見るに至れり。

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中里介山

【法然行伝】

「さあ皆の者、今日の往生は少し延期だ、きたる九月四日には必ず往生をして見せるから、その日になってやっておいで」
 見物の者あきれて、あざけりながら帰って行く。妻子眷属は世間へ対して面目ないことだと、歎いたが、当人は一向平気で、
「なあに、阿弥陀如来のお告げで、延ばしたのだ。自分の了見ではない。九月には間違いないよ」

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28