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三寒四温
さんかんしおん |
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作家
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作品
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宮城道雄 |
【私の若い頃】
また夜眠っている中に、自分の息が、布団の襟に凍りつく。窓硝子へ部屋の中の水蒸気が凍りついて、さわってみるといろいろの形の小さい粒が、指先に触れる。それに朝の日光が当ると、美しいとみんなが言った。また冬には、かささぎの声が珍らしかった。三寒四温といって、思いがけなく暖かい日もあった。 春が来るのは遅かったが、春になると鳥の声が長閑かであった。夏の昼間はきびしいが夕風が立つと、夜寒を感じるのであった。 |
豊島与志雄 |
【台湾の姿態】
溪の水量の激変は大なる熱情の変動を思わせるが、温度の変化は熱情的というよりも寧ろ病的である。台湾の気候は大体、北部と南部とでは、その雨期と乾燥期との時期に於て対蹠的であるが、その変化目の――例えば四月頃の気候は、病的というの外はない。冬服の気温から単衣一枚の気温に至る間を、幾度も往復する。日によって変るし、一日のうちでも朝夕に変る。北方の台北に於てばかりでなく、南方の高雄に於てもそれが多い。この気温の不順不同は、所謂三寒四温どころのものでなく、ヒステリックである。この季節、気温に敏感な人々は、ヒステリーの妻と一緒に暮してる思いがするだろう。
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種田山頭火 |
【行乞記 三八九日記】
一月十五日 晴、三寒四温といふがじつさいだ。少々憂欝である(アルコールが切れたせいか)、憂欝なんか吐き捨てゝしまへ、米と塩と炭とがあるぢやないか。 |
種田山頭火 |
【其中日記 (八)】
一月二十日 晴、四五日来の暗雲がすつかり消えた。今日はDさんSさんKさんが来庵する日である、何はなくとも火をおこし、炬燵をぬくめておかう。 友あり……と庵主の心境である。 三寒四温といふ、その一温といふお天気である。 街のポストまで出かけて、ついでに豆腐を買うてくる。 餅粥はうまいな。 |
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