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生生流転/生々流転
せいせいるてん しょうじょうるてん |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【続堕落論】
生々流転、無限なる人間の永遠の未来に対して、我々の一生などは露の命であるにすぎず、その我々が絶対不変の制度だの永遠の幸福を云々し未来に対して約束するなどチョコザイ千万なナンセンスにすぎない。無限又永遠の時間に対して、その人間の進化に対して、恐るべき冒涜ではないか。我々の為しうることは、ただ、少しずつ良くなれということで、人間の堕落の限界も、実は案外、その程度でしか有り得ない。人は無限に堕ちきれるほど堅牢な精神にめぐまれていない。何物かカラクリにたよって落下をくいとめずにいられなくなるであろう。そのカラクリをつくり、そのカラクリをくずし、そして人間はすすむ。堕落は制度の母胎であり、そのせつない人間の実相を我々は先ず最もきびしく見つめることが必要なだけだ。
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種田山頭火 |
【道中記】
四月廿日 曇。小鳥の歌のほがらかさ、椿もをはりのうつくしさ。 ――自覚自信――自粛自戒。―― 今日は陰暦の三月廿日、明日へかけて秋穂地方は賑ふだらう、私も巡拝するつもりだつたが、先日の浪費で、その余裕をなくしてしまつた。 散歩、農学校に寄つて新聞を読ませて貰ふ、新聞を読まない日は飯を食べないやうな感じ。 近来痛切に自然の理法といふものを感じる、生々流転の相を観じる。…… 石油が切れたので宵から寝る、暗闇で句を作つたり直したりしてゐるうちに、いつとなく睡つた、そして夢中なほ作つたり直したりした。
無理をするな、素直であれ。――
すべてがこの語句に尽きる、この心がまへさへ失はなければ、人は人として十分に生きてゆける。 |
種田山頭火 |
【其中日記 (十)】
七月五日 曇、時々雨。二人とも朝飯なしでお茶をすする。 敬君は九時のバスで県庁へ、私は読書。 身心重苦しい、死なゝいから生きてゐる、――といつたやうな存在。 飯がない、米がない、袋を持つて、学校に樹明君を訪ね、米を貰つてくる、これで当分は安心。 甘草(カンゾウ?)が咲いてゐたので生ける、忘れ草といふ名は気に入つた、何もかもみんな忘れてしまへ。 暑い、蒸暑い、遠く雷鳴、いよ/\梅雨もあがるらしい。 無知の世界か、無恥の生活か。―― 放下着、――善悪是非も利害得失も生死有無もいつさいがつさいみんないつしよに。―― 菜園にて――
山頭火が猿葉虫を殺しつゝ、「外道め」
宇宙は生々流転する、――昨日の彼は明日の私だらう。猿葉虫は殺されつゝ(叫ぶだらう!)「人間の奴め」 嵐雪の句はうまくて好きである。 |
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