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静思熟考
せいしじゅくこう |
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作家
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作品
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市島春城 |
【読書八境】 (六)病蓐も亦読書の一境である。苦痛ある疾患若しくは熱に困しむ病は例外だが、否らざる病人で長く臥蓐に余儀なくさるゝ場合に於て、其の慰安となり其の消悶の具となるものは唯読書あるのみだ。平素繁劇の人は斯る場合で無ければ書物に親しむ機会が無い。さるが故に此種の人は病中を楽天地として喜ぶものもある。病中は接客の煩もなく、何等清閑を妨げるものもないから、羈旅以上に読書に耽けることが出来る。多くの場合精神が沈静して自然サブゼクテーヴになつてゐるから、静思熟考も出来、随つて読書に依つて受け入れることも多いので、読書人はたまさか微恙に罹りたいと思ふことすらある。
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