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千思万考
せんしばんこう
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作家
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作品
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【浮雲】
唯是もなく非もなく、利もなく害もなく、昇に一着を輸する事は文三には死しても出来ぬ。
ト決心して見れば叔母の意見に負かなければならず、叔母の意見に負くまいとすれば昇に一着を輸さなければならぬ。それも厭なりこれも厭なりで、二時間ばかりと云うものは黙坐して腕を拱んで、沈吟して嘆息して、千思万考、審念熟慮して屈托して見たが、
詮ずる所は旧の木阿弥。
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【二葉亭追録】
実行家の第一資格たる向う見ずに猪突する大胆を欠いていた。勢い躍り出すツモリでいても出遅れてしまう。機会は何度来ても出足が遅いのでイツモ機会を取逃がしてしまう。存命していても二葉亭はやはりとつおいつ千思万考しつつ出遅れて、
可惜多年一剣を磨した千載の好機を逸してしまうが落であるかも解らん。
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【法窓夜話】
起し得て妙なりと手を拍って自ら喜び、更に二の句を次ごうと試みたが、どうしても出ない。出ないはずである。起句が余りに荘厳であるから、如何なる名句をもってこれに次ぐも、到底竜頭蛇尾たるを免れないのである。千思万考、
推敲百遍、竟に一辞をも見出す能わずしてその筆を投じてしまった。
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Last updated : 2024/06/28