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千態万状
せんたいばんじょう
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作家
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作品
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【病牀六尺】 ○川村文鳳
の画いた画本は『文鳳画譜』というのが三冊と、『文鳳
麁画
』というのが一冊ある。そのうちで『文鳳画譜』の第二編はまだ見たことがないがいずれも前にいうた『手競画譜』の如き大作ではない。しかし別に趣向のないような簡単な絵のうちにも、
自
ら趣向もあり、趣味も現はれて居る。『文鳳麁画』というのは極めて略画であるが、人事の
千態万状
を窮めて居てこれを見ると殆ど人間社会の有様を一目に見尽すかと思う位である。
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【創作家の態度】 普通の小説で、成功したものと称せられている性格の活動は大概矛盾のないと云う事と同一義に帰着する。これを他の言葉で云いますと、ある人が根本的にあるものを握っていて、千態万状の
所作にことごとくこのあるものを応用する。したがって所作は千態万状であるが、これを奇麗に統一する事ができる。しかもこれを統一するとこのあるものに落ちてしまう。
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【浮雲】 商賈も出た負販の徒も出た。人の横面を打曲げるが主義で、身を忘れ家を忘れて拘留の辱に逢いそうな毛臑暴出しの政治家も出た。猫も出た杓子も出た。人様々の顔の相好、おもいおもいの結髪風姿、聞覩に聚まる衣香襟影は紛然雑然として千態
万状、ナッカなか以て一々枚挙するに遑あらずで、それにこの辺は道幅が狭隘ので尚お一段と雑沓する。
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【南半球五万哩】 今回の南半球の周遊は、二百九十七日間に五万七十五マイルを踏尽せし故、一日に百六十九マイルずつを急行したる割合なり。かかる電光的旅行なれば、精細の観察は到底望むべからず、ただ瞬息の間に余の眼窓に映じたる千態万状を日記体に書きつづりたるもの、すなわち本書なり。
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【詩人論】 彼等互に相標榜して自ら是とし、人を詈り己れを尊び、昂然として一世を睥睨す。殊に知らず、天地の情豈に一人一派にして悉知
するを得んや。月影波に横はれば砕けて千態万状を為すに非ずや。百日の富士は百日の異景を呈するに非ずや。詩人たる者唯宜しく異を容れて
惟れ日も足らざるべし、何を苦しんで党派を作らんとするぞ。是も亦談理の弊に非ずや。
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【富士】 螺の腹にえび蔓の背の形をした老翁と、筒形の瓜わらべとは、猫が毬を弄ぶように、また、老牛が狼に食まれるように、転びつ、倒れつ千態万状を尽して、戯れ狂った。初冬の風が吹いて満山の木が鳴った。翁は疲れ切って満足した。瓜わらべにちょっと頬ずりして土に置いた。瓜わらべの
和毛から放つらしい松脂の匂いが翁の鼻に残った。
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【晶子鑑賞】
雲渡る多くの人に覗かれて早書をする文の如くに
斯ういう早書きの体験は誰にもあろう、又なくとも容易に想像出来る。けれどもそれを歌材とすること更にそれを雲の運動と結び付けることなど決して出来ることではない。千態万状測り知られぬ雲の運動もその一つの相がこれで正確に固定されたわけである。
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【大菩薩峠 流転の巻】 そもそもこの度、京都の騒動、聞いてもくんねえ、長州事件の咽喉元過ぐれば、熱さを忘れる譬えに違わぬ、天下の旗本、今の時節を何と思うぞ、一同こぞって愁訴をやらかせ、二百年来寝ながら食ったる御恩を報ずる時節はここだぞ、万石以上の四十八館、槍先揃えて中国征伐一手に引受け、奮発しなさい、チャカポコ、チャカポコ
それに負けず、一方にはまた、
菊は咲く咲く、葵は枯れる
西じゃ轡の音がする
と唄い、囃し、おどり狂っているものもある。その千態万状、たしかに珍しい
見物ではある。七兵衛も呆れながら飽かず眺めておりました。
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【神州纐纈城】 島を取り巻いている岩壁に、仏像が刻まれているからである。
鉄鉢を両手で捧げた者、猛虎を足に踏まえた者、香炉に向かって坐っている者、合掌し結跏し趺坐している者、そうして雲竜に駕している者……千態万状の羅漢の像が、昨日今日
鑿で彫ったかのように、鮮かに岩へ彫り付けられていた。
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Last updated : 2024/06/28