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前途洋洋/前途洋々
ぜんとようよう |
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作家
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作品
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田中正造 |
【非常歎願書】
栃木県下都賀郡谷中村民
吾等の現住せる谷中村ハ今や奸悪なる買収の毒手ニ罹りて瀕死の境に彷徨しつゝあり。吾等茲に聊か従来の実情及現在の状態を開陳して非常歎願を敢てするの理由を言明せんと欲す。希くハ微衷を諒せられんことを。一、抑谷中村ハ古来天産に富み関東中其比を見ざる豊饒の沃土なり。二十年来鉱毒のために戸口漸々減少せしと雖も、現在尚ほ三百九十六の戸数と二千五百の人口とを有し全村の総価格一千五百万円以上に達せり。若し唯一の堤防修築を怠らざれバ前途洋々として頗る多望なるものあり。然るに此豊饒なる一美村ハ之を羨望するものゝ私慾を恣にせんがために当路の有司をして陰険なる策略を弄せしむるに至り、名を修築工事ニ借りて却て堤防を毀損崩壊して脆弱ならしめ、波除けの柳樹を濫伐して破堤を赤麻沼の水波に打たしめ、故らに堤防をして風浪に堪えざるものゝ如くし遷延徒に日月を費して其完成を計らず、年々全村をして水害を被らしめ以て村民の窮苦を来たせり。是れ実に明治三十五年以来の事に属す。退て想ふに谷中村買収の動機ハ公共の利益を計るがために非ずして実に鄙人の私慾を全ふせんがために外ならざるなり。是れ公然の事実と裏面の消息と相待ちて炳然又疑ひを容るゝの余地なし。更に次項他村との関係の下に之を弁明せん。
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岸田國士 |
【老病について】
老人病と言へば第一に動脈硬化があげられるであらう。ところが、精神の動脈硬化的症状は、意外に早くわれわれを訪れる。血圧が普通だとすれば、その治療はどうすればいゝか。わが民族の精神年齢について、一外国人は甚だ前途洋々の望みを嘱してゐるやうだが、果してその観察は誤りであらうか? 動脈硬化的症状の一つは、なんといつても、かのセクショナリズムである。しかも、それは、習癖となつてゐる無意識的セクショナリズムである。 |
桑原隲蔵 |
【大師の入唐】
我々西洋人が東洋人を異端として排斥し、宗教的信仰心なきが如く輕侮するが、こは確に間違ひといはねばならぬ。法顯や玄奘の傳記を讀めば、誰人も彼等の燃るが如き信仰心に感動されない者はなからう。東洋人にもかかる美はしい信仰心存する以上、我々は決して彼等を輕侮すべきでないと告白して居る。我が入唐求法の僧侶の傳記も、法顯・玄奘のそれと同樣、一つの教訓書と認めても何等差支がない。今日宗教界の人々が、よく此等の傳記を反復翫味して、宗祖高僧の心を心とせられたならば、我が佛教の前途洋々たるべきこと疑を容れぬと思ふ。
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永井隆 |
【この子を残して】
――田川君の長男の伸治君は誠一と同い年であった。家も隣だったので、長男の生まれたころ、二人の若い父親は、若い妻が夕飯の支度をする間、おぼつかない手に、前途洋々たる第二世を抱いて門に立ち出で、胸ふくらまして輝かしい未来を語り合ったものだった。二人の長男は同じ時にはしかにかかり、同じころに腹をこわし、いっしょにかぜを引いて、こんこん咳をし、同じように青ばなを垂れて大きくなった。
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宮本百合子 |
【五ヵ年計画とソヴェトの芸術】
作品活動をこめての一般的なプロレタリア文化・文学活動の実践の領域でソヴェト文化運動と文壇の指導権を確立したばかりではない。全同盟内の生産の場所における文学研究会、労農通信員たちへの正しい階級的指導は、あとから、あとから一つは一つよりよい作品を発表する前途洋々たる若い党員作家を輩出させている。文学活動の分野は、五ヵ年計画とともに拡大された。プロレタリア作家の質そのものも変って来つつあるのである。
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