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自卑自屈
じひじくつ
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作家
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作品
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【非人道的な講和条件】
私は今日まで人道平和の理想を基礎としかつ国際連盟を前提とする講和会議を期待していました。かつてウィルソンの十四カ条を読んだ時から、今度の講和は従来のそれとは全く異って、――戦勝的国家と戦敗的国家との間に、一方は強圧を以て望み、一方は屈辱を以て対するという関係でなく、――連合国側の人民と独墺側の人民とが互に敵味方の国境的、階級的、差別的、尊卑的の感情を忘れ、戦勝者の持つ復讐心や侵略思想を綺麗さっぱりと抛ち、戦敗者の持つ自卑自屈と
僻みとを一切捨て去って、愛と正義と自由と平等との中に、どの国民もねたみ恨みなくのびのびした文化主義的生活を未来に発展し得ることを条件とした講和の成立を望んでいたのでした。
しかるに何という怖ろしい事でしょう。連合国に依って提示された講和条件は、世界に文字があって以来どの国の書物にも書かれたことのない、人間の持っている極度の復讐心と、極度の貪欲心と、極度の虐殺思想とをさらけ出したものだと思います。
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【美の日本的源泉】
能面の美は演技上の必要から来た其の表情の縹渺性に多く基いている。喜怒哀楽をむき出しに表現せず、そのいずれでもなく、又そのいずれでもあるような、含みを深く湛えた美の性格を極限の境にまで追及して得た此の奥深い含蓄性は、世界に類を見ない美の日本的源泉として、今日われわれの内にこんこんと湧いて已まない無限の力を与えてくれる。「般若」のような激情の面でさえ、怒であると同時に、悲でもあり、のしかかる強さであると同時に、寂しい自卑自屈の弱さでもある。こういう類の表現は単にそれを理解する事だけですら、恐らく今日の世界に於ける美の感覚の程度では及び難いのではないかと考えられる。われわれは
斯かる超高度美を感受し得る美的感覚を、今後あまねく世界の人々にすすめねばならぬ。此の源泉から得た力を更に時代と共に前進せしめねばならぬ。
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【二葉亭四迷の一生】
どうにかしなければならないと思いつつもどうにもする事が出来ないで
独りで
窘窮煩悶していた。この苦境を見るに見兼ねて、もし仕官する希望でもあるならと
片肌抜いでくれたのが語学校の旧師の古川常一郎であった。二葉亭はこの間の消息を日記に洩らして、官吏は元来心に染まぬが今の場合聊かなりとも俸銭を得て一家を支える事が出来るなら幸いであると古川に頼んで、さてそのあとで、「何となくうら恥かしきやうに心落ちゐず。白石先生の事など憶出せば背に冷汗を流す」と書いておる。二葉亭の自卑自屈を余儀なくされる窘窮煩悶の状がこの二、三行の文字に見えるようである。
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Last updated : 2024/06/28