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自縄自縛
じじょうじばく
「自分の縄で自分を縛る」意で、自分の心掛けや言葉・行為のために、自分自身が自由な動きがとれなくなり苦しむこと、また、苦しい立場になること。
作家
作品

芥川龍之介

【るしへる】

 破していわく、なんじ提宇子でうす、この段を説く事、ひとえに自縄自縛 じじょうじばくなり、まず DSでうす はいつくにも充ち満ちてましますと云うは、真如法性しんにょほっしょう本分の天地に充塞し、六合りくごうに遍満したることわりを、聞きはつり云うかと覚えたり。

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北原白秋

【雀の卵】

 その後の作にも随分「雲母集」の余焔の抜けきらないのが多かつた。それに、どうにかして真の短歌の行くべき道を発見しようと焦つた為め、ああでも無いかうでも無いと事毎に迷ひどほしであつた。そこへゆくと素人のかなしさであつた。強ひて澄み入らうとした傾きもあつた。ただ畏れ入つて了つて固くなり、肩ばかり張つて息もつけない苦しさに自縄自縛して了つた。かうなつたら手も足も出せる筈はないのである。で、実際に観てゐ乍ら、ついその傍まで行つてゐながら、その真生命にピタと手を触れる事ができないで、ふつと片傍に逸れてゆく、どうしても主体と客体との間に一分の隙があつた。此の隙を乗り超えるまでの、つまりこの数年間の必死の苦しみであつたのである。

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太宰治

【ダス・ゲマイネ】

「けさ、とても固いするめを食ったものだから」わざと押しつぶしているような低いかすれた声であった。「右の奥歯がいたくてなりません。歯痛ほど閉口なものはないね。アスピリンをどっさり呑めば、けろっとなおるのだが。おや、あなたを呼んだのは僕だったのですか? しつれい。僕にはねえ」私の顔をちらと見てから、口角に少し笑いを含めて、「ひとの見さかいができねえんだ。めくら。――そうじゃない。僕は平凡なのだ。見せかけだけさ。僕のわるい癖でしてね。はじめに逢ったひとには、ちょっとこう、いっぷう変っているように見せたくてたまらないのだ。自縄自縛という言葉がある。ひどく古くさい。いかん。病気ですね。君は、文科ですか? ことし卒業ですね?」

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有島武郎

【或る女 (後編)】

 そういって折り入って相談でもするように正井は煙草盆を押しのけてひざを乗り出すのだった。人を侮ってかかって来ると思うと葉子はぐっしゃくにさわった。しかし以前のような葉子はそこにはいなかった。もしそれが以前であったら、自分の才気と力量と美貌びぼうとに充分の自信を持つ葉子であったら、毛の末ほども自分を失う事なく、優婉ゆうえんに円滑に男を自分のかけた陥穽わなの中におとしいれて、自縄自縛 じじょうじばくにがい目にあわせているに違いない。しかし現在の葉子はたわいもなく敵を手もとまでもぐりこませてしまってただいらいらとあせるだけだった。そういう破目はめになると葉子は存外力のない自分であるのを知らねばならなかった。

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坂口安吾

【文章の一形式】

むしろ一々の文章にかういふひねこびた真実を強ひられると、飛躍した高処に何物の姿をもとらへることができなくなつてしまふばかりだ。そのうへ、それ自らとして独立した実感を持つにしても、部分と部分との連絡の際に、曲芸を行はない限り自由に進行もできないやうな自縄自縛におちいる危険はありはしまいか。私の経験によると、内容的な真実(実感)を先に立てると、概ね予定通りの展開もできないやうな卑屈な渋滞状態をひきおこし、却つて真実を逸しがちであるばかりか、渋滞状態の悪あがきの中では、真実を強調するための一種自己催眠的な虚偽すら犯してしまふのである。これらの危険を避け、書きたいことを自由に書きのばすために、私に考へられる唯一の手段は、新らたな形式をもとめ、形式の真実らしさによつて逆に内容の発展を自由ならしめやうといふことである。
 四人称を設けることは甚だうまい方法で、この方法によつて確かに前述の自縄自縛がかなりにまぬかれるに違ひない。然しながら私は、日本語に於ける四人称に一つの疑ひを持つものである。

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岸田國士

【戦時下の文化運動 ――九州地方講演筆記――】

 健全なる文化の基礎がなければ、文明も常に民族発展の方向を誤り自縄自縛、遂に神の怒りにふれるのだと思ふのであります。欧洲文化の没落がこれを証明してゐます。しかしながら、人類の進歩乃至国家の繁栄にとつて一面、自然のある程度の変形、または技術の高度化といふことが、どうしても必要であります。

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木暮理太郎

【高原】

四周に高山を擁していることは苦痛ではなく、位置の高いことを端的に知り得ないのが苦痛なのである。しかるに多くの高原は、裾野しくは山懐ともいうき処に位置を占めているので、この要求を充たしてくれる場合が少ないのは、所謂いわゆる 自縄自縛であっても、遺憾はどこまでも遺憾である。

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喜田貞吉

【融和促進】

もし被糾弾者が自衛のために、相連合してこれに備えるようにもなったならば、例えば奈良県の下永事件の如く、群馬県の世良田事件の如く、あるいはさらにそれ以上のとんでもない大騒ぎを演出しないともかぎりません。なお言わば、そのことの理非曲直の問題はしばらくこれを措くとしまして、ともかく事実上世間の多数を相手に戦うこととなりましては、現にいわゆる細民部落であり、多数の社会を相手に生活せねばならぬ境遇にいるところのこれらの人々の多数は、いきおい自縄自縛に陥るの おそれはないでありましょうか。

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風巻景次郎

【中世の文学伝統】

古人が詠まなかったといって珍しがって見苦しいことを詠むなどは、「道の口伝なきが致す所」であろうといった。これにすべて為兼の言説や『玉葉集』の歌やに対する反撥はんぱつである。為世は何よりも家伝を尊重して嫡家の家格を擁護する。これは双刃もろはの刀であって、新を求める者に対しては伝統がないから卑俗だといってたたく武器となるが、自身に対しては「代々の撰集世々の歌仙、詠み残せる風情あるべからず」という 自縄自縛じじょうじばくになってしまう。しかも為兼が、家伝なきによって見苦しいことを詠むのだと批難されたような立場を、あえて取るについては、為世の側には到底理解されない別の立場にしっかりと立っているのである。

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吉川英治

【鳴門秘帖 船路の巻】

「――一節切ひとよぎりの」
 と、のどまでその人の名を洩らしかけたが、邪推ぶかいひもの宅助に、これ以上な気を廻させては、いよいよ 自縄自縛じじょうじばくもとを招くばかりと思いなおして、ホ、ホ、ホ、ホ、と取ってつけたさびしい笑いにまぎらわせた。

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Last updated : 2024/06/28