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人生行路
じんせいこうろ
作家
作品

小川未明

【ラスキンの言葉】

 ラスキンは言ったのである。死者は、よろしく、愁草や青白い花に委すべきである。若し、その人を忘れずに、記念せんとならばその人が、生前に為しつゝあった思想や、業に対して、惜しみ、愛護し、伝うべきであると。
 まことに、詩人たり、思想家たる人の言葉にふさわしい。
 誰か、人生行路の輩でなかろうか。まさにその墓は、一寸の木標にて足れりとする。殺風景な俗臭の抜けきらぬ、これ等の 墓牌ぼひより、どれ程、行路病者のさゝやかな木標が、自然に近いか知れない。

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正岡容

【寄席】

 上背のあるスラリとした影法師が、春の夜のもやのなかでジットリ朧に濡れていた。
 だが――。
 顔だちのいつに変わらぬ美しさにひきかえて、垢染あかじみて、つぎはぎだらけで、ボロボロで、見るかげもない侘しい着物には、人生行路氷雨ひさめしまきや雪みぞれの憂さ辛さが見るからに滲みだしていて、いたましさにハッと助六は目を伏せた。

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寺田寅彦

【蒸発皿】

 こういう現象の起こる原因は割合に簡単であって、ちょうど電車が幾台もつながってあるくようになるのとほぼ同様な原因によるらしい。すなわち、偶然二つが接近して同方向に動くようになるとそれからは、いつでも先へ立つほうが乗客の多いために時間をとってあとのを待ち合わせるような結果になるからである。これも結局は、多くの人間がただ眼前のことだけを見てその一つ先に来るものを見ようとしないことを示す一例に過ぎないであろう。これと似たことが人生行路にもありはしないかと思う。

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岡本かの子

【仏教人生読本】

 それから最後の人世の秘密として取ってある仕掛けは、その「刈り取り、生え延び」の人生行路コースは、ひとところに停滞して繰返されるのでなく、一歩一歩に働く人を前へ進ましめて、事実何らかの意味で、向上発展の状態に移すのであります。ひそかにこの向上発展を人生行路の勇ましき実行者に褒美として与えるのであります。これも体験的のもので、どんな形で褒美が与えられるか、人々によって違うのであります。

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島木健作

【第一義の道】

山下はあちこちをこまめにわたりあるいて、かきあつめた新しい情報をまたあちこちでくりかへし放送してあるくのだらう。よく切れる有能な記者と評判されること、今の彼の生き甲斐とはさういふものであるのだらう。さうだ、もはや彼はただの記者以外の何ものでもない。彼の昔の經驗は、情報をかきあつめたり、それの解釋にちよつぴり鹽をきかせたりすることのなかに生かされて、無駄ではなかつた、といふことになる。ふりかへつてみて、悔みなき人生行路と思ひこむことができる。

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吉川英治

【折々の記】

 長谷川伸氏の“或る市井の徒”を讀むと、何さま、氏の苦勞人といはれてきた理由がわかる。數奇な人生行路と、孤愁苦鬪な道を通つてきたこと、氏のやうな人も稀れな方であらうが、あの自傳の著には、どこにも、苦勞ばなしめいた暗さはない。むしろ苦勞を樂んできたふうさへある。

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Last updated : 2024/06/28