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常住不変
じょうじゅうふへん
作家
作品

ロマン・ローラン
豊島与志雄訳

【ジャン・クリストフ 第九巻 燃ゆる荊】

紙屋のほうは、彼よりも怠惰で、自分の信念を表明するだけの労をとらなかった。いったい人は自分が疑ってる事柄をしか表明しないものである。ところが彼は何にも疑っていなかった。彼の常住不変な楽天主義は、自分の欲するとおりに事物をながめて、心にそわない事物は、眼に止めないかもしくはすぐに忘れるかした。

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アントン・チェーホフ
神西清訳

【かもめ ――喜劇 四幕――】

お前のなかに、命の目ざめるのを恐れて、永遠の物質の父なる悪魔は、分秒の休みもなしに、石や水のなかと同じく、お前のなかにも、原子の入れ換えをしている。だからお前は、絶えず流転るてんをかさねている。宇宙のなかで、常住不変のものがあれば、それはただ霊魂だけだ。(間)うつろな深い井戸へ投げこまれた とらわれびとのように、わたしは居場所も知らず、行く末のことも知らない。わたしにわかっているのは、ただ、物質の力の本源たる悪魔を相手の、たゆまぬ激しい戦いで、結局わたしが勝つことになって、やがて物質と霊魂とが美しい調和のなかに溶け合わさって、世界をべる一つの意志の王国が出現する、ということだけだ。

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小栗虫太郎

【人外魔境 天母峰】

エヴェレストでさえ、フェロース大尉らによって空中征服がなし遂げられている。ところが、ここではそれも出来ないというのは、主峰をつつむ常住不変の大雲塊があるからだ。うごかぬ雲、おそらく天地開闢以来おなじままだろう雲――。およそ雲といえば流動を思う読者諸君は、ここでまず最初の謎を知ったわけだ。

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小栗虫太郎

【黒死館殺人事件】

ボヘミアのケーニヒグレーツで点された蝋燭の中にあるいはダンネベルグ夫人のみに現われた算哲の幻影が秘められているのじゃあるまいかね。ねえ支倉君、偶然の中からは、往々に数学的なものが飛び出してくるものだよ。何故なら、元来恒数コンスタントと云うものは、常に最初の出発点形式は仮定であり、しかる後に、常住不変因数ファクターを決定するのだからね」と法水の顔に、いったんは混乱したような暗影が現われたけれども、彼はさらに語を次いで、屍光に関して、地理的にも奇妙な暗合のあるのを明らかにした。しかし、そういう隔絶した対照は、結果において紛乱を助長するものにすぎなかったのである。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28