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熟慮断行
じゅくりょだんこう |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【街はふるさと】
記代子はさっそく家出の仕度にとりかかった。子女の家出に熟慮断行などということは、めったにない。激情的であるから、当人は一時的に悲愴であるが、同時に冷静でもある。時間を失せず、今のうちに飛びださなければ、ということを充分に知りすぎているのである。今でなければ、家出の理由がないし、大義名分がない。今を失すると、再び踏み切るときがないかも知れない。平静の時には自信がないことを知っており、激情にまかせなければ実行不可能であることを知っているのである。
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野村胡堂 |
【胡堂百話】
何が原因だったかは忘れたが、万逸君は、すごく腹を立てた。腹を立てて、どうするのかと思うと、おもむろに便所にはいった。そして、ゆっくりと用を足しながら、彼我の腕力や運動神経など、あらゆるデータを慎重に比較検討し、「どう考えても、ボクの方が勝つに相違ない」と見当をつけ、さて、それから、煙村をなぐった。熟慮断行のサンプルとして、当時は、好評サクサクだった。決して、これは、フィクションでない。明治が大正になり、桂太郎が、内大臣から再び首相に返り咲くと、いわゆる憲政擁護の騒ぎが起こった。あの政争は、今から見ると、いろいろと眉ツバの点もあったろうが、宮中府中の別をみだるものとして、尾崎 |
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