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洒洒落落/洒々落々
しゃしゃらくらく
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作家
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作品
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【浮雲】
栴檀は二葉から馨ばしく、蛇は一寸にして人を呑む気が有る。文三の眼より見る時はお勢は所謂女豪の萌芽だ。見識も高尚で気韻も高く、
洒々落々として愛すべく尊ぶべき少女であって見れば、仮令道徳を飾物にする偽君子、磊落を粧う似而非豪傑には、或は欺かれもしよう迷いもしようが、昇如きあんな卑屈な軽薄な犬畜生にも劣った奴に、怪我にも迷う筈はない。
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【番茶話】
それさへ――いま思へば、空吹く風であつたらしい。
又思出す事がある。故人谷活東は、紅葉先生の晩年の準門葉で、肺病で胸を疼みつゝ、洒々落々
とした江戸ツ兒であつた。(かつぎゆく三味線箱や時鳥)と言ふ句を仲の町で血とともに吐いた。此の男だから、今では逸事と稱しても可いから一寸素破ぬくが、
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【露路の友】
「これは、貴方の叔父さんの表札ですか?」
と、開き直つて兵野に尋ねた。
何も気づかない酔ひ痴れてゐる兵野は、いとも洒々落々たる音声をあげて、「さうとも/\たしかに僕の叔父の表札さ。僕は二年前から此処に住んでゐるよ。今時分帰る時には玄関からでなしに、庭を回つて椽側から入ることになつてゐるんだから、向方をまはつて――まあ、君、折角だから上つて行つて呉れたまへ、女房にも会つて呉れ給へ、お礼を云はせたいんだ――ねえ、堀田君――」
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【残されたる江戸】
男の素袷に兵児帯無雑作に巻いたも悪からず、昔男の業平にはこうした姿も出来なかったろうが、かきつばたのひんなりなりとした様は、なおかつ江戸ッ児の素袷着たるにも類すべく、朝湯で磨いた綺麗な肌を、無遠慮に寛ろげて、取繕わぬところにかれらの身上はある、洒々落々たる気分は、どうしてもこうした間に潜むもので、吾儕の身に纏う衣類のすべてを通じて、袷ほど江戸ッ児に相応しいものはまたとなかろう。
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【近世快人伝】
湊屋の大将こと、篠崎仁三郎は、その日常の生活が悉くノベツ幕なしの二輪加の連鎖であった。浮世三分五厘、本来無一物の洒々落々
を到る処に脱胎、現前しつつ、文字通りに行きなりバッタリの一生を終った絶学、無方の快道人であった。古今東西の如何なる聖賢、英傑と雖も、一個のミナト屋のオヤジに出会ったら最後、鼻毛を読まれるか、顎骨を蹴放されるかしない者は居ないであろう。試みに挙す。看よ
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【書かでもの記】
床の間には遊女の立姿かきし墨絵の一幅いつ見ても掛けかへられし事なく、その前に据ゑたる机は一閑張の極めて粗末なるものにて、先生はこの机にも床の間にも書籍といふものは一冊も置き給はず唯六畳の間との境の襖に添ひて古びたる書棚を置き麻糸にてしばりたる古雑誌やうのものを乱雑に積みのせたるのみ。これによりて見るも先生の平生物に頓着せず襟懐常に洒々落々
たりしを知るに足るべし。
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【其中日記 (九)】
九月廿二日
秋晴。
朝、眼が覚めるといつも私は思ふ、――まだ生きてゐた、――今朝もさう思つたことである。
山の鴉がやつて来て啼く、私は泣けない。
身心重苦しく、沈欝、堪へがたし。
虚心坦懐であれ、洒々落々たれ、淡々たれ、悠々たれ。
午後はあんまり気がふさぐので近郊を散歩した、米と油とを買うて戻る。
樹明君は来てゐない、来てくれさうにもない、九、一九の脱線でまた戒厳令をしかれたのかもわからない。
今後は誓つて、よい酒、うまい酒、恥づかしくない酒、悔ゐない酒、――澄んでおちついた酒を飲まう、飲まなければならない。
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【大菩薩峠 山科の巻】
宇津木兵馬と福松との道行は彼が如く、白山に上ろうとして上れず、畜生谷へ落ち込まんとして落ち込むこともなく、峻山難路をたどって、その行程は洒々落々
、表裏反覆をつくしたような旅でありましたが、日と夜とを重ねて、ついに二人は越前の国、穴馬谷に落ち込んでしまいました。
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【巷説享保図絵】
おゆうさんがなくなる前は、わしもしばらく遠のいておったから――一空さまは、そんな答えだったが、お高は、そうして母のことをきくと、一空さまが苦しそうに見えるので、よすことにした。ことによると、母と何かあって、そのためにこの人は、出家なぞなすったのではなかろうかと、気がついた。
だがこの洒々落々
とした禅の坊さまと、自分の母とはいえ、一人のおんなとを結びつけて考えるのは、滑稽なようにも思えた。
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【神秘昆虫館】
広い額、窪んだ眼窩、きわめて高い高尚な鼻、しかし異ったところもある。昆虫館主人は白髪だのに、こっちは艶々しい黒色である。昆虫館主人の眼と来ては、霊智そのもののような眼であったが、こっちの眼は意志的英雄的である。昆虫館主人よりも身長が高く、そうして一層肥えてもいる。健康そのもののような体格である。昆虫館主人は学究として、あくまでも真面目、あくまでも真剣、しかるにこっち葵ご紋の武士は、洒々落々としたところがあり、人を食ったようなところがある。
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Last updated : 2024/06/28