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四海同胞
しかいどうほう |
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作家
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作品
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森鴎外 |
【古い手帳から】
Stoa 派の鼻祖 Zeno は來歴不明の人であるが、とにかく東方から來た。希臘人は始て希臘人でない人も亦人だと曉つた。そして人を品評するには民族を以て高下すべからず、徳性を以て高下すべし(Eratothenes)と云つた。仁は世界の愛となつて、ここに國際主義が萌芽した。しかし精神的貴族(Seneca)を唯一の貴族なりとし、人間の多數を只形のみ獸に異なりとする(Kleanthes)が如き此派は民政主義に向つては進まなかつた。啻に然るのみではない。その理想とする哲人の國は、Platon のそれと同じく、財産と婦女とを私有せしめない國である。貨幣をだに造らない國である。此國には敵は無い。民族の限界が撤廢せられて、四海同胞であるからである。(Diogenes Laertius)ここに Platon の高等共産主義が再現した。そしてその中に新に人權(jus generis humani)の思想が頭を擡げた。 世界の愛の國際主義と哲人の國の精神的貴族主義との間には、永遠に填むることの出來ない谿壑がある。 |
北一輝 |
【日本改造法案大綱】
國民人權ノ上ヨリ説明ヲ要セズ。滿十六歳以下トセルハ下掲ノ國民教育期間ナルヲ以テナリ。體刑ヲ課スル所以ハ國家ノ兒童ヲ保護スルニ最モ嚴勵ナルベキヲ以テナリ。實ニ國家ノ生産的利益ノ方面ヨリ見ルモ、幼童ニシテ殘賊スルヨリモ其ノ天賦ヲ完全ニ啓發スベキ教育ヲ施シタル後ノ勞働ガ幾百倍ノ利益ナルハ論ナシ。四海同胞ノ天道ヲ世界ニ宣布セントスル者ガ、自ラノ國家内ニ於ケル幼少ナル同胞ヲ酷使シテ何ノ國民道徳ゾ。
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夢野久作 |
【鼻の表現】
そこで「ウヌが人間ならオレも人間だ。向うへ行きたけりゃ手前の方からよけて通れ」という鼻の表現をこれを以てこれを見れば、礼儀作法とか御愛嬌や御挨拶なぞというものは、共同生活の本義から割り出された四海同胞主義、それからまた煎じ出された博愛の精神を標準目標として出来たものと考えられます。商売上の掛引にせよ何にせよ、相手に好感を与えねばならぬという人類共通の本心から出たものである事は間違いないようであります。 |
戸坂潤 |
【日本イデオロギー論 ――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判】
青年将校の〔変革〕理論の淵源である北一輝氏は古く(大正八年)上海で、すでに、「支那印度七億ノ同胞ハ我ガ扶導擁護ヲ外ニシテ自立ノ途ナシ。……コノ余儀ナキ明日ヲ憂イ、彼ノ悽惨タル隣邦ヲ悲ム者、如何ゾ直訳社会主義者流ノ巾掴的平和論ニ安ンズルヲ得ベキ」云々(『日本改造法案大綱』)と喝破している。この物騒な大アジア主義は併し他方に於て極めて義侠的な道徳と、教訓的な使命とを帯びていることによって、正にアジア的・東洋的、即ち精神的なのである。「……亜細亜連盟ノ義旗ヲ翻シテ真個到来スベキ世界連邦ノ牛耳ヲ把リ、以テ四海同胞皆是仏子ノ天道ヲ宣布シテ東西ニソノ範ヲ垂ルベシ。」
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スワンテ・アウグスト・アーレニウス |
【宇宙の始まり】
自然が我々に提供する進化の無限の可能性を曇らぬ目で認め得るほどの人々は恐らく、自分のため、またその近親、朋友、同志あるいは同国人のみの利害のために、詭計あるいは暴力によって四海同胞たる人類を犠牲にするようなことをしようとはしないであろう。
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