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神色自若
しんしょくじじゃく |
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作家
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作品
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河口慧海 |
【チベット旅行記】
そこはいわゆる死刑に処する場所でありますので、尊者は静かにお経を読まれて居った。すると死刑の執行者は「何か望みがあれば言って戴きたい。また何か |
泉鏡花 |
【式部小路】
岡野へ寄ろうと、くらがり坂へかかった時は、別にそこで、といういっそ、特にあの坂で、とでもいうことなら、いかにお夏さんが神色自若としていたから、といって、こちらが呑気だからといって、墓といい、森といい、暗さといい、たといそこまでは上の空でも、坂の下り口じゃちょいとでも気がさして、 |
北村透谷 |
【各人心宮内の秘宮】
この美こそ、真こそ、以て未来の生命を形くるものなるべし。基督を奉ずるものゝ倒崖の |
夢野久作 |
【鼻の表現】
偉い人はたった一人でいる時は、宿賃の工面は愚か車の……御注進御注進、一大事一大事……ナ、何事じゃ……と慌てふためく動的はした役者よりも、舞台の真中に神色自若としている千両役者の方が、はるかに深い感動を見物に与えるようなものであります。 鼻は云わずして云う者以上に云い、泣かずして泣く者以上に泣き、笑わずして笑う者以上に笑い、怒らずして怒る者以上に怒る好個の千両役者であります。 |
南方熊楠 |
【十二支考 馬に関する民俗と伝説】
ベレロフォンこれに騎らば鵺に勝ち得べきを知り、アテナ女神の社に眠って金の |
坂口安吾 |
【明治開化 安吾捕物 その一 舞踏会殺人事件】
「どこかで戦争がはじまったかエ?」「実は昨夜八時ごろ政商加納五兵衛が仮装舞踏会の席上何者かに殺害されました。当夜の会には閣僚はじめ各国の大公使、それに対馬典六、神田正彦も出席いたしておりました」 さすがの海舟も、神色自若たるものではあるが、口をつぐんで、ちょッと考えこんだ。天下稀代の頭脳、利剣の冴え、飛ぶ矢の早読み、顕微鏡的心眼であるが、事はまことに重大だ。 |
長與善郎 |
【青銅の基督 ――一名南蛮鋳物師の死】
水を打つた如き式場の中央にモニカは神色自若としてその前に進み、 「あゝ貴方は、矢張り、信心を持つていらつしつたのですね。有り難う。」役人にも聞こえぬ程の低い声で彼女はかう呟いた。そして急にそれを抱きかゝへる如く |
佐々木邦 |
【苦心の学友】
「エイッ」と一声、杉山はしょい投げをくって、がけ伝いに下の畑へ転げ落ちた。 安斉先生は 「でましたよ」と、おっしゃった。 「ははあ」 と照彦様は先生の顔をじっと見つめた。 「虎ですよ。ハッハハハハ、がけ下へ投げましたが、あそこにはなにがあるんでしょうか? ドブーン、という音がしました」 「それは大変です」 と照常様が 「だれかいないか? 杉山、杉山!」 と黒須先生も |
吉川英治 |
【新書太閤記 第三分冊】
「近うよれ。餅を進上いたそう」脇差を抜いて、信長は、その切っ先に、自分の前にあった菓子の一片をつきさした。――そして村重の方へ突き出した。 「頂戴いたします」 村重は静かにすすんで、顔へ刀の届く処で手をつかえた。おそらくは両手を出すかとみていると、 「どうぞこれへ」 と、大きく口を開きながら信長の顔を見た。歯までが、 餅の切れが、村重の口へはいると、信長は脇差を納めて、 「あは、は、は」 と、高く笑った。 |
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