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針小棒大
しんしょうぼうだい
作家
作品

チェスタートン
直木三十五訳

【金の十字架の呪い】

 他の人々は歴史的の枝話しに依って少し眩惑したように思われた。そしてなぜ坊さんがそれを力説しそしてまた難問題の一部分をそんなに重大にしたかを不審がるように見えた。枝話しの色々な縺れから実際的な詳細を拾い上げるのが商売であった、ターラントは不意に油断なくなって来た。彼の髯のある顎、いつより前の方へつき出された、しかし彼の凄い眼は大きく見開いていた。
「ああ」彼が言った。「一時の興に乗って作ったか!」
「たぶんそれは針小棒大ですじゃ」師父ブラウンがおだやかに言った。「それは非常に注意深い筋の他のものよりもっとうかつに造られたという方がいいじゃろう。しかし企画者は中世の歴史を詳細に考えなかったのじゃ。普通な方法において彼の推定はかなり正しくあったよ。彼の他の推定のようにな」

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徳冨健次郎

【みみずのたはこと】

 然し夫人、世に先生を非難する者の多かった様に、あなたを非難する者も少くありませんでした。白状します、私も其一人でした。トルストイと云う様な偉大な名は、世界の目標です。先生や先生の一家一門の所作しょさは、万人のつぶさる所、批評のまとであります。そこで先生のかなしい最期前後の出来事は、如何様どのような微細な事までも、世界中の新聞雑誌に掲載されて、色々の評判を惹起ひきおこしました。私は漏らさず其記事を見ました。無論誤報ごほう曲説きょくせつも多かったでしょう。針小棒大 しんしょうぼうだいの記事も沢山あったに違いありません。然し打明けて云えば、其記事については、私は非常に心をいたむる事が多かった。打明けて云えば、夫人、私はあなたに対して少からぬ不平があったのです。勿論白がいや白くなれば、鼠色ねずみいろ純黒まっくろいきおいなる様なもので、故先生があまりに物的ぶってき自我じがを捨てようとせられた為、其反動の余勢であなたは実際以上に自己を主張されねばならぬ様なハメになられたこともありましょう。

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井上円了

【迷信解】

このような怪談が世間に伝わるや、ひとたびこれを耳にしたるものは、山中に入るごとに、己の心よりあらかじめ天狗に遇うであろうと待ち設けておるようになるから、一層迷いやすく、かつ妄想を起こしやすい。ことわざに「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とあるごとく、つまらぬものを見てただちに天狗なりと思うものである。かくして、諸方に天狗談が伝わるときは、物ずきの人ありてこれにいろいろのおまけを付け、針小棒大にいいふらし、また小説家や画工はこれを材料として一層人の注意を引くように繕い、数代の後には実に不可思議な大妖怪となりて、世間より歓迎せらるるに至るであろう。これに加うるに、宗教家中の山師連は、愚民 瞞着まんちゃくの手段として天狗を利用し、ますます奇怪に奇怪をつけ加うることも、世間にありがちのことである。

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内村鑑三

【後世への最大遺物】

われわれは実にグレイの運命を羨むのであります。すべての学問を四十八年間も積んだ人がただ三百行くらいの詩を遺して死んだというては小さいようでございますが、実にグレイは大事業をなした人であると思います。有名なるヘンリー・ビーチャーがいった言葉に……私はこれはけっしてビーチャーが小さいことを針小棒大にしていうた言葉ではないと思います……「私は六十年か七十年の生涯を私のように送りしよりも、むしろチャールス・ウェスレーの書いたJesusジーザス, Loverラヴァー ofオブ myマイ soulソールの讃美歌一篇を作った方がよい」と申しました。

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坂口安吾

【黒谷村】

 ところがその翌日、意外千万な出来事が起つた。事件そのものが甚だ意外であつたばかりでなく、事件の原因をなしたところのものが実に奇想天外――いや、これも亦凡太の意識内に於ける不屈な好奇心の説明であるが、とにかく奇抜千万であつたために、凡太はひどく奇異を感じた。即ち、龍然は通夜の席上で実際憤然として悲憤慷慨の演説を試みたばかりではない、しかも屡々過激な言辞を弄して資本主義ならびにブルヂョアを攻撃したといふのである。勿論それは、相手が県内でも有数な勢力家であるために、針小棒大誣告ぶこくして司直の手を煩はしたことかも知れない。しかしとにかく、厳めしい佩剣はいけんの音が翌日山門を潜つたのは事実で、それは村の駐在巡査が一人の高等係を案内して寺を訪れたのであつた。

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岡本かの子

【仏教人生読本】

 地獄、極楽とは一応、私たちの心の状態を指します。心の経験する苦の世界、これが地獄であります。その反対なのが極楽であります。
 現代の人々が嘗める地獄苦で、昔の人と同じものもありましょうが、また昔の人の知らなかった新しいものもあります。
 焦燥地獄、何となくいらいらして落付けぬ地獄です。虚無地獄、人生の何物にも張合いが持てなくなり虚無的ニヒリスチックな気持ちばかりに襲われる地獄であります。神経衰弱地獄、神経過敏地獄、脱力して馬鹿のようになってしまったり些細なことを針小棒大に感じて不安がちだったりする地獄であります。思想地獄、あまりに 去来うつりかわりの速かな思想群に疲れる地獄であります。刺激地獄、次に次にと刺激を求めて行って飽くことを知らぬ地獄であります。流行地獄、流行を追って血眼の地獄であります。その他、生活問題、社会問題に関して世人が頭を悩ましている地獄はあまりに人が知り過ぎているものであります。

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田中英光

【オリンポスの果実】

 だ、ませた中学生に過ぎなかった彼としては、自分が、いかに女の子と親しくしているかを、大いに、みせびらかしたかったのでしょう。それだけ、ぼくより、無邪気むじゃきだったとも、言えますが、ぼくにしてみれば、彼が、あなた達、女子選手をいかにも、中性の化物らしく批評ひひょうし、「熊本や、内田の奴等やつらがなア」 と二言目には、あなた達が、村川に交際を求めるような口吻こうふんろうし、やたらに、写真を撮らしたり、ぼく達四人の交友を、針小棒大 しんしょうぼうだいに言いらすのをきいては、しゃくさわるやら、心配やら、はらはらしてりました。

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夢野久作

【東京人の堕落時代】

 その実見談は、遺憾ながらここに書く事が出来ぬ。只、前に述べた不思議な道具の使用法が如何に深刻なものであるかを、彼等はあらかた知る事が出来たと云うに止めておく。
 勿論、この話は彼等の話の要点だけであって、作り話や針小棒大と思われるところは皆 けずった。
 信ぜられぬと云う人は、信ぜられぬ方がいいかも知れぬ。

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吉川英治

【平の将門】

 上告文には、坂東一帯の騒擾は、すべてこれ、彼の野望と、中央無視の反意によるものであるとなし――為ニ、荘園ハ枯渇コカツシ、農民ハ焦土ニ泣涕流亡キフテイルバウシ、ソノ暴状ハ鬼畜モヨクス所ニアラズ――と、誇張した文辞で、将門の反官的行為を、ある事ない事、針小棒大に書き出してある。
「すててはおけない」
 太政官は、これを取り上げた。

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Last updated : 2024/06/28