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疾風迅雷
しっぷうじんらい
作家
作品

岸田國士

【私の従軍報告】

 この意味で、上海より武漢に亙る後方勤務の各部隊は、一地に駐屯するものと、絶えず移動するものとを問はず、ひとしく対敵行動の姿勢を瞬時も崩すことのできぬ特別な事情にある。
 この度の事変は、政治的にもある例外的な宣言を必要とした。同時に、戦略的にも、戦術的にも、これを一般の前例に当てはめることはできない、まつたく、風変りな戦である。われわれは、日本軍の奇略縦横、疾風迅雷のファインプレイに拍手を送るものであるが、敵の執拗なゲリラ戦術とやらには業を煮やさざるを得ぬ。

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久生十蘭

【魔都】

 警保局長は電話器に飛びついて、ウンウン頷いていたが、掌で電話の口に蓋をして一同の方へ振返り、喜色を満面に溢れさせて、
「御安心下さい、替玉野郎がホテルへ帰って来ているそうです」
 と、報告しておいて、また受話器を耳に当ててしきりに会話をつづけていたが、追々いやな顔になり、よろしい判った。じゃ、安南の諜報部長を電話に出してくれ、と蚊の鳴くような声でいう。間もなく、まるでぶりき板を引ッ掻くような甲高い声が、疾風迅雷の勢いで受話器から洩れてくる。警保局長は電話の声の主に平身低頭して応待していたが、電話の口を押えて一同の方に振向き、
「いや、どうも、こう重ねがさねでは挨拶の仕様もない。又々困ったことになりました。……あの馬鹿野郎がとうとう尻尾を出して、偽せの王様だということを見破られてしまったんです。

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佐々木味津三

【右門捕物帖 毒色のくちびる】

「いかがでもない。これなる伝六へあの時刻ごろ外出をしたものがあったら、三人五人と数はいわずに皆連れてまいれと申したところ、そなたひとりだけを召し連れて帰ったによって、そなたに下手人の疑いかかるは理の当然でござらぬか。それに、第二の証拠はこのふところ紙じゃ。見れば、そなたの内ぶところから顔をのぞかせている紙もこれと同じ品じゃが、それでも強情を言り張りますか!」
「えッ!」
 ぎょッとしながら、あわててそれなる秋楓といった御殿女中がふところ紙に手を添えたとたん!――まことに疾風迅雷 しっぷうじんらいの早さでありました。右門があけに染まった証拠のふところ紙を右手に擬して、やにわに女の身近へにじり寄るや、判でも押し取るようにその紙切れを毒々しい紅殻べにがら染めのくちびるへ押しつけたと見えましたが、そこに古い紅跡と新しい紅跡が二つ並んで押されたのを知ると、女の心を突きえぐるようにいい叫びました。<

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石原莞爾

【戦争史大観】

 持久戦争は勢力ほぼ相伯仲する時に行なわれるのである。第二次欧州大戦でドイツのいわゆる電撃作戦が、ポーランドやノルウェーの弱小国に対して迅速に決戦戦争を強行し得た事はもちろん驚くに足らない。英仏軍と独軍はマジノ、ジーグフリードの陣地線の突破はお互にほとんど不可能で、結局持久戦争になるものと常識的に信ぜられていた。
 しかるに一九四〇年五月十日、独軍が西方に攻勢を開始すると疾風迅雷、僅かに七週間で強敵を屈伏せしめて、世界戦史上未曽有の大戦果を挙げ、仏国に対しても見事な決戦戦争を強行し得たのである。

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野村胡堂

【錢形平次捕物控 竹光の殺人】

「こいつは近頃の大捕物になりますが、組子の用意をお願ひいたします」
「何人位?」
「相手の腕が判りませんが、まア、十人もあれば」
「そんな事で大丈夫か」
「あんまりお膝元を騷がせるものでもありません」
 用意は疾風迅雷 しつぷうじんらいでした。錢形平次が捕頭とりがしらで、手下の組子が十人、わざと眞晝を選んで、八方から一擧に岩根半藏の浪宅を圍んだのは、それから一刻ばかり後のことです。
「御用ツ」
「岩根半藏、神妙にせいツ」
 一隊は表の入口から、一隊はお勝手から、一擧に疾風の如く飛込んだのです。

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国枝史郎

【怪しの者】

「まだあるのか、早く言え!」
おのれこの場で消えてなくなれ」
「ナ、なんだと?」
おのれに生きていられては都合が悪いと言っているのだ」
 疾風迅雷とでも形容しましょうか、怒りと 憎悪にくみとで斬り込んで来た、鶴吉の刀のすさまじかったことは! あやうく受け流し、わたしは木立ちの中へ駈け込みました。そのわたしを追いかけて来る、鶴吉の姿というものは、さながらひょうでしたよ。
(駄目だ)とわたしは観念しました。(俺の手では仕止められない)
 松の木を盾として、鶴吉の太刀先を防ぎながら、わたしは大音に呼びました。

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吉川英治

【上杉謙信】

 信玄をさしてである。これは謙信が名づけた綽名あだなではない。甲州の足長どのとは誰もいうのだ。その外交ぶり、その疾駆しっくぶり、あの山峡の国にいながら、実にまめな早足や早業はやわざを見せるところから起ったものらしい。
 しかし、その疾風迅雷にかけては、謙信も信玄に劣らないものだった。謙信の迅さは、行動よりも、心機にある。事にぶつかって、悔いたり迷っていない果断にある。
「ひきあげよう。即刻」
 六月、三国みくに越えを、彼のひきいる人馬は、奄々えんえんと、汗みどろに、北をさしていた。

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Last updated : 2024/06/28