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私利私欲
しりしよく |
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作家
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作品
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下村湖人 |
【現代訳論語】
顔渕が仁の意義をたずねた。先師はこたえられた。――「己に克ち、私利私欲から解放されて、調和の大法則である礼に帰るのが仁である。上に立つ者が一たび意を決してこの道に徹底すれば、天下の人心もおのずから仁に帰向するであろう。仁の実現は先ず自らの力によるべきで、他にまつべきではない。」 顔渕がさらにたずねた。―― 「実践の細目について、お示しをお願いいたしたいと存じます。」 先師がこたえられた。―― 「非礼なことに眼をひかれないがいい。非礼なことに耳を傾けないがいい。非礼なことを口にしないがいい。非礼なことを行わぬがいい。」 |
坂口安吾 |
【中庸】
「議員諸君の言は村長に対して無礼千万である。そもそも佐田海軍大佐を村長に推薦するに当って、諸君は大佐になんと約束したか。金策その他の雑務については一切大佐に御迷惑はおかけしないという約束ではないか。そもそも大佐は清廉潔白、身を持すること厳格、軍人中にあっても亀鑑と申すべき謹直無比の将軍である。私利私欲、利己主義のかたまりのこの村の人間とはものが違うぞ。世が世ならば、貴様ら、足もとへ寄りつくこともできやしないんだ。死んでからでも同席できる身分じゃないぞ。貴様らは畜生道におちた奴らだ。地獄の鬼が迎えにくる奴らだぞ!」羽生の見幕の怖しさ。余も思わず襟元に冷水を浴びた思いがした。 |
鳥谷部春汀 |
【明治人物月旦(抄)】
山縣相公閣下、閣下の内閣が近き未來に於て伊藤侯の内閣に代らる可き運命あるは、殆ど一種の豫言として國民に信ぜらるゝのみならず、伊藤侯亦自ら取つて代るの野心勃々たるは、天下何人も恐らくは之れを疑ふ者ある可からず、但だ自由黨が伊藤内閣の成立を望むの意たとひ熱切なりとするも、其意單に侯を擁立して私利私欲を遂げむとするに在らば、到底再び衝突するの外なきは明白の理勢なるを以て、侯にして愈々自ら起つの時は、是れ自由黨が大に其の内容を改造して、侯の理想に適合せる政黨と爲りたるの日ならざる可からず、
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菊池寛 |
【仇討禁止令】
「お八重殿、お引き取りになりませぬか」と、言葉をかけた。とお八重は、それがきっかけになったように、しくしくと泣き始めた。何故、お八重が泣くか、その理由があまりにはっきり分かっているので、新一郎も、急に心が乱れ、堪えがたい悩ましさに襲われた。 いっそ、すべてを忘れて、そのかぼそい身体を抱き寄せてやった方が、彼女も自分も幸福になるのではないかと思ったが、しかし新一郎の鋭い良心が、それを許さなかった。私利私欲のために殺したのではないが、親の敵には違いない。しかも、それを秘して、その娘と契りを結ぶことなどは、男子のなすべきことでないという気持が、彼の愛欲をぐっと抑えつけてしまうのである。 |
吉川英治 |
【私本太平記 筑紫帖】
「私欲の反逆や無節操と、世をよくしようと念じての苦節とは」「まことに」 と、正成は素直にうなずいてみせた。しかし一歩も譲ッているのではなかった。 「尊氏どのの本心も、それではあろう。……けれど世を思うことにおいてなら、みかどは申すにおよばず、おおかたは、世が 「が、それを 「朝廷も世間のうち、人と人との寄りあい、げに、その |
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