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四通八達
しつうはったつ
作家
作品

夏目漱石

【自転車日記】

 忘月忘日 人間万事漱石の自転車で、自分が落ちるかと思うと人を落す事もある、そんなに落胆したものでもないと、今日はズーズーしく構えて、バタシー公園へと急ぐ、公園はすこぶる閑静だが、その手前三丁ばかりのところが非常の雑沓ざっとうな通りで、初学者たる余にとっては難透難徹の難関である、今しも余の自転車は「ラヴェンダー」坂を無難に通り抜けて、この四通八達の中央へと乗り出す、向うに鉄道馬車が一台こちらを向いて休んでいる、その右側に非常に大なる荷車が向うむきに休んでいる、その間約四尺ばかり、余はこの四尺の間をすり抜けるべく車を走らしたのである、余が車の前輪が馬車馬の前足と並んだ時、すなわち余の 身体からだが鉄道馬車と荷車との間に這入はいりかけた時、一台の自転車が疾風のごとくむこうから割り込んで来た、

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太宰治

【ダス・ゲマイネ】

幻燈を見に行こうとささやいたのだ。馬場は幻燈を知らなかった。よし、よし。きょうだけは僕が先輩です。八十八夜だから連れていってあげましょう。私はそんなてれかくしの冗談を言いながら、プラアゲ、プラアゲ、となおも低く呟きつづけている馬場を無理、矢理、自動車に押しこんだ。急げ! ああ、いつもながらこの大川を越す瞬間のときめき。幻燈のまち。そのまちには、よく似た路地が蜘蛛くもの巣のように四通八達していて、路地の両側の家々の、一尺に二尺くらいの小窓小窓でわかい女の顔が花やかに笑っているのであって、このまちへ一歩踏みこむと肩の重みがすっと抜け、ひとはおのれの一切の姿勢を忘却し、逃げ おお せた罪人のように美しく落ちつきはらって一夜をすごす。

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坂口安吾

【安吾の新日本地理 飛鳥の幻――吉野・大和の巻――】

 三輪から山の辺に沿うて盆地を北上すると天理教の丹波市たんばいちから奈良へと平野がつづいている。南に向ってはウネビ、耳成みみなし、天ノ香具山の大和三山にかこまれた平地があって飛鳥の地があり、そこから山岳になって吉野へ熊野へと通じるわけだ。東の方へは初瀬はせから宇陀、伊賀を越えて伊勢路へ通じ、西の方へは二上山を経て河内、大阪方面へ通じている。三輪のミヤコをまン中に、交通は四通八達していたらしい。これを古に「山の辺の道」と云い、古記にも、崇神天皇には「御陵ハ山辺道ノ勾之岡ノ上ニアリ」とあり、景行天皇には「御陵ハ山辺之道ノ上ニアリ」とある。

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寺田寅彦

【物理学と感覚】

たとえば一つの自動車を作ってその機械の自己の作用で向かう所にどこまでも向かわせる場合には便宜とか選択の問題は起こらぬ、車は行く所にしか行かぬのであるが、これが解析的な数学の行き方とすれば物理学のはそうでない。このような自動車のハンドルを握って四通八達の街頭に立っているようなものである。同じ目的地に達するのでも道筋の取り方は必ずしも一定していない。そこで径路の選択という問題が起こり、この選択の標準とするものはつまり人間の便宜である、思想の節約である。この際もし車掌がある一つの主義を偏執してたとえば大通りばかりを選ぶとするとそれを徹底させるためには時にはたいへんな 迂路うろ を取らねばならぬような事があるだろう。

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野村胡堂

【銭形平次捕物控 槍の折れ】

 伝六の殺された部屋は、四通八達の要路で、どこからでも入れますが、武芸自慢で、恐ろしく眼ざとい伝六が、二階から槍の折れを持出して来て、胸に突立てられるのを知らずにいるとは思われず、下手人はどうして凶器を持出したか、どうして伝六に近づいたか、それがいちばん興味のある疑問です。
あかりいていたんだね」
「へエ、――有明ありあけ行灯あんどんが、今朝まで点いておりました」
 豊次郎は平次のために、行灯の位置まで指してくれます。

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木村荘八

【東京の風俗】

 徳川氏は覇業を達成すると、慶長八年に江戸の大土木を起し、日本橋もこの時その名と実の出来た歴史となつてゐるが、翌年(西暦一六〇四年)この橋を里程の基本として三十六町一里の塚を四方へ作り、日本橋からの東西南北を東海道、中仙道、その他甲州街道、奥州街道、下総街道……とした。以来旅立ちは七ツにしても八ツにしても「お江戸日本橋」から立つのが定となつた。
 徳川氏が、覇を成すや、土木を盛んにして江戸を中心に四通八達の道路を修正したのは、ローマが西欧大陸を定めるとまづ地域全体に渉つて道路を通したのと似てゐる。
 東西実用主義の双へきと見て然るべきものだらう。家康は江戸城の堀を相するに当つて、その西に面する方角には堅固な石垣を築き上げることをしたが、東面は土留どどめの山なりのまゝ、格別に石垣で堅めなかつた。

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Last updated : 2024/06/28