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小心翼翼/小心翼々
しょうしんよくよく
作家
作品

正岡子規

【俳人蕪村】

蕪村は比較的多作の方なり。しかれども一生に十七字千句は文学者として珍とするに足らず。放翁は古体今体を混じて千以上の詩篇を作りしにあらずや。ただ驚くべきは蕪村の作が千句ことごとく佳句なることなり。想うに蕪村は誤字違法などは顧みざりしも、俳句を練る上においては小心翼々として一字いやしくもせざりしがごとし、古来文学者のなすところを見るに、多くは玉石 混淆こんこうせり、なすところ多ければ巧拙ふたつながらいよいよ多きを見る。

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梶井基次郎

【路上】

気がついてみると、それはいつも自分がMの停留所へ歩いてゆく道へつながって行くところなのであった。小心翼々と言ったようなその瞬間までの自分の歩き振りが 非道ひどく滑稽に思えた。そして自分は三度に二度というふうにその道を通るようになった。

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徳富盧花

【燕尾服着初の記】

 此処は帝国ホテル随一の大広間ホール。正面には緑葉りよくえふに「聖壽萬歳せいじゆばんざい」と白く菊花にてぬきたる大額をかゝげ、天井には隙間すきまもなく列国旗を掛けて、五色のアーク灯の光もあやに、床は鏡の如く磨きたればきら/\しく照り渡りて、燕尾服、桃紅色服ときいろふく、水色服、扇影せんえい簪光参差さんくわうしんしとして床の上に落ち散りたり。氷よりも滑かなる床のすべり易きに、吾は小心翼々としてぬき足さし足一分刻みに歩みつゝ、壁際に置かれたるソフアの あたりに立ちて見る。

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石橋忍月

【舞姫】

彼を玩弄ぐわんらうし彼を狂乱せしめ、つひに彼をして精神的に殺したり。しかして今其人物の性質を見るに小心翼々たる者なり。慈悲に深く恩愛の情に切なる者なり。「ユングフロイリヒカイト」の尊重すべきを知る者なり。

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太宰治

【春の盗賊】

 私の悪徳は、みんな贋物にせものだ。告白しなければ、なるまい。身振りだけである。まことは、小心翼々の、甘い弱い、そうして多少、頭の鈍い、酒でも飲まなければ、ろくろく人の顔も正視できない、 わば、おどおどした劣った子である。

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中島敦

【狼疾記】

そのが地下に、ありったけの智能を絞って自己の棲処すみか――窖を営む。想像され得る限りのあらゆる敵や災害に対して細心周到な注意が払われ安全が計られるのだが、しかもなお常に小心翼々として防備の不完全を おそれていなければならない。

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坂口安吾

【波子】

 波子は、ふと、父に就て、考へ直した。ふだんは至極ザックバランな、悟りきつた外面を見せながら、いざ、事に当ると、小心で、不鍛錬な肚の底をのぞかせる。今迄は、波子と父との関係では、不鍛錬な肚の底を見せられるほど重大な事に当つた例がない。だから、外面の呑みこみの良さに気をよくして、これが父だと思ひこんでゐたのであつたが、軽率きはまることであつた。父は小心翼々として、執念深く、煮えきらない人である、と波子は気付いた。

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織田作之助

【可能性の文学】

 ある大衆作家は「新婚ドライブ競争」というような題の小説を書くほどの神経の逞しさを持っていながら、座談会に出席すると、この頃の学生はあしたに哲学書を読み、ゆうべに低俗なる大衆小説を読んでいるのは、日本の文化のためになげかわしいというような口を利いて、小心翼々として文化の殉教者を気取るのである。一体どちらを読めというのか。いや、正倉院を見学しろと彼は返答するであろう。

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岸田國士

【泉】

 田沢は上機嫌である。素子は今日までこの男を曲者だと思つてはゐたけれども、それはたゞ漠然とした世間の通念がさう思はせるだけで、実際はこれと云つて、曲者の本領を発揮したこともなく、寧ろ、彼女に接する面だけでは、小心翼々、ひたすら不徳漢の名を懼れる一個の立志伝中の人物に過ぎなかつた。

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吉川英治

【三国志 臣道の巻】

臧倉ぞうそうなどというやからが孟子に向ってつばを吐いたしぐさにも似ておる。おん身の内心には、人もなげなる覇道はどうの遂行を思いながら、行うことといったら、かくの如き小心翼々たるものだ。小心にして 鬼面きめん人をおどすもの、これを、匹夫という。――にも稀代の匹夫が玉殿にあらわれたものだ。

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Last updated : 2024/06/28