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正真正銘
しょうしんしょうめい
しょうじんしょうめい
作家
作品

森鴎外

【青年】

「ゆっくりこうね」
 なんだか譲歩するような、庇護ひごするような口調であった。しかし純一は不平には思わなかった。
「さっきの小説の先きはどうなるのですか」と、純一が問うた。
「いや。大変なわけさ。相手に出て来る女主人公は正真正銘satanisteサタニスト なのだからね。しかしドュルタルは驚いて手を引いてしまうのです。フランスの社会には、道徳も宗教もなくなって、只悪魔主義だけが存在しているという話になるのです。今まであの作者のものは読まなかったのですか」

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芥川龍之介

【あばばばば】

「朝日を、――こりや朝日ぢやない。」
「あら、ほんたうに。――どうもすみません。」
 猫――いや、女は赤い顔をした。この瞬間の感情の変化は正真正銘に娘じみてゐる。それも 当世たうせいのお嬢さんではない。五六年来あとを絶つた硯友社けんいうしや趣味の娘である。保吉はばらせんを探りながら、「たけくらべ」、乙鳥口つばくろぐちの風呂敷包み、燕子花かきつばた、両国、鏑木清方かぶらぎきよかた、――その外いろいろのものを思ひ出した。女は勿論この間も勘定台の下を覗きこんだなり、一生懸命に朝日を捜してゐる。

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坂口安吾

【古都】

たゞ、問はず語りに訊いたところでは、主婦は昔どこか売店の売子をしてゐて、親爺がこれに熱をあげて、口説き落したのだと言ふ。売子の頃はいくつぐらゐだつたのか、それも訊いてみなかつたが、騙されたのですがな、と主婦は言ふ。親爺は昔札つきの道楽者で、たらしこまれたのだと言ふのだが、ほんとはどうだか分りやしない。だが、親爺は、聖護院しょうごいん八ツ橋の子供であつた。京都の名物の数あるうちでも、八ツ橋は横綱であらう。聖護院八ツ橋は正真正銘の元祖なのだが、親爺はそこの長男で、然し、妾腹であつた。だから、この女と一緒になると、つぐべき家を正妻の子供にゆづる意味で、自ら家出したのだといふ。立派なぼん/\であつたのだ。然し、今、その面影は微塵もなく、誰の見る目も、最も家柄の悪いうちの出来損つた子供の成れの果だとしか思はない。

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中島敦

【虎狩】

 私は虎狩の話をしようと思う。虎狩といってもタラスコンの英雄タルタラン氏の獅子狩のようなふざけたものではない。正真正銘の虎狩だ。場所は朝鮮の、しかも京城から二十里位しか隔たっていない山の中、というと、今時そんな所に虎が出て たまるものかと云って笑われそうだが、何しろ今から二十年程前迄は、京城といっても、その近郊東小門外の平山牧場の牛や馬がよく夜中にさらわれて行ったものだ。

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牧野富太郎

【植物一日一題】

これは夕顔の名を冐しているが、その正しい称えは夜顔(田中芳男たなかよしお氏命名)である。そして本当の夕顔は瓜類の夕顔(Lagenaria leucantha Rusby var. clavata Makino)で、これは昔からいう正真正銘のユウガオである。ここに四つの顔が揃った。すなわち朝顔、昼顔、夕顔、夜顔である。これを歌にすれば「四つの顔揃えて見れば立優る、顔はいづれぞ四つのその顔」

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寺田寅彦

【生ける人形】

 松王丸まつおうまるの松王丸らしいのに驚かされた。人間の役者のふんした松王丸の中には、どうしても、その役者が隠れていて、しかも大いにのさばっているために、われわれは浄瑠璃じょうるりの松王丸を見るかわりに俳優何某の松王丸しか見ることができないのであるが、この人形の松王丸となると、それが正真正銘の浄瑠璃の世界から抜けだして来た本物の松王丸そのものになっている。つまり絶対の松王丸になっているのである。そうしてそれがそれほど誇張されない身ぶりの運動のモンタージュによって、あらゆる悲痛の腹芸を演ずるからおもしろいのである。

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北大路魯山人

【なぜ作陶を志したか】

 そこで手元に窯を築き、轆轤場を置く必要を生じ、昭和三年春、大船在山崎に窯を築くに至ったのである。たとえ助手数人を要するとしても、正真正銘の自作というものが自分の窯から生まれ出ることになった。さて、やってみると、土をいじるとか、絵を描くとか、窯に詰め込むとかいう技法上のことは案ずるより産むが易かった。星岡茶寮で使用している食器の悉くはみな自分の作品である。それには青磁、信楽、唐津、朝鮮刷毛目、古瀬戸、赤呉須等略一通りは揃っている。

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織田作之助

【わが町】

「言うちゃなんやけど、今日まで生命があったのは、こら神さんのお蔭や。こないだの山崩れでころッとてしもたもんやおもて、もういっぺんベンゲットへ帰ろやないか。ここで逃げ出してしもてやな、工事が失敗すかたんになって見イ、死んだ連中が浮かばれん。わいらは正真正銘の日本人やぜ。」

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石川啄木

【雲は天才である】

自分から云はせると、校長と謂ひ此男と謂ひ、栄養不足で天然に立枯になつた朴の木の様なもので、松なら枯れても枝振といふ事もあるが、何の風情もない。彼等と自分とは、毎日吸ふ煙草までが違つて居る。彼等の吸ふのは枯れた橡の葉の粉だ、辛くもないが甘くもない、にほひもない。自分のは、五匁三銭の安物かも知れないが、兎に角正真正銘 しやうじんしやうめいの煙草である。香の強い、辛い所に甘い所のある、真の活々した人生の煙だ。リリーを一本吸ふたら目が廻つて来ましたつけ、と何日か古山の云ふたのは、けだし実際であらう。斯くの如くして、自分は常に此職員室の異分子である。

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江戸川乱歩

【怪人二十面相】

 それからあとは、ご承知のとおりです。お話をうかがってみると、わしはたった五千円の礼金に目がくれて、まんまと二十面相のやつの替え玉に使われたというわけですね。
 いやいや、替え玉じゃない。わしのほうがほんもので、あいつこそわしの替え玉です。まるで、写真にでもうつしたように、わしの顔や服装を、そっくりまねやがったんです。
 それがしょうこに、ほら、ごらんなさい。このとおりじゃ。わしは 正真正銘しょうしんしょうめいの松下庄兵衛です。わしがほんもので、あいつのほうがにせ者です。おわかりになりましたかな。」

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Last updated : 2024/06/28