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春宵一刻
しゅんしょういっこく |
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作家
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作品
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太宰治 |
【お伽草紙】
お婆さんも息子も、黙つてゐる。「春宵一刻、価千金、か。」と、また、言はなくてもいい事を呟いてみる。 「ごちそうさまでござりました。」と阿波聖人は、ごはんをすまして、お膳に向ひうやうやしく一礼して立つ。 「そろそろ、私もごはんにしよう。」とお爺さんは、悲しげに盃を伏せる。 うちでお酒を飲むと、たいていそんな工合ひである。 |
小熊秀雄 |
【小熊秀雄全集-15- 小説】
『牝鶏でも巡査でもやつて来い』かういつてから、頬を伝ふ雨が口に入るのを、こくり、こくりのみこみながら、『雲か霞か、遙か彼方を眺むれば――絶景かな、絶景かな、春宵一刻千金だア、ちいセイ/\、この五右衛門の眼からみれば価万両、てもよき眺めぢやなアー』と石川五右衛門が、南禅寺の山門から春の日うかうかと屋根に上つて京都を眺めて叫んだ、 |
平野萬里 |
【晶子鑑賞】
君乗せし黄の大馬とわが驢馬と並べて春の水見る夕
春宵一刻千金とまでは進まぬその一歩手前の夕暮の気持を象徴的に詠出したものであらうか。男は黄の大馬――そんなものはあるまいが――に乗り女は小さいから驢馬に乗り、それが並んで川に映つてゐる。春の夕の心が詩人の幻にあらはれてこんな形を取つたのであらう。 |
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