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首鼠両端
しゅそりょうたん
作家
作品

菊池寛

【山崎合戦】

 後になって、たった四万石の石田三成に二万石で召し抱えられたほどの豪傑、島左近にだって分らなかったのである。
 とにかく、後世からはその首鼠両端の態度を嘲笑されているが、しかし当時は明智の無二の親友でありながら、家を全うすることが出来たのは、松倉、島両家老の処置宜しきを得たためであると云われていた。

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与謝野晶子

【姑と嫁について】

子としても良人としても確かなかつ周到な思慮を欠いて甚だ煮え切らぬ態度を取っていたために、母の恥を世にさらし、妻を罪人たらしめ、自分自身を不幸に導くような悲惨な結果になってしまった。私は良人たる人さえ首鼠両端しゅそりょうたんでなかったら、この悲劇の運命は多分避け得られたのではないかと思って返すがえすも惜まれるのである。

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本庄陸男

【石狩川】

機会は次々ともたらされていたのに――会津救援には何をいてもけつけるべきであったのに――拱手こうしゅ傍観を強いられた彼らは、むざむざと数百の生命をほふらしたではないか。意地はつぶれてしまったのだ。土民のように追い立てられた。首鼠しゅそ 両端を持した藩の重役どもが、今荒野の中に連れ込んでのたれ死に導いている!

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原勝郎

【東山時代における一縉紳の生活】

そこで菅家の連中が承知せぬ。一族の協議会を開いて申状を認め、公然と出訴におよぶことにした。一族中には九条家の威勢に畏れて首鼠しゅそ 両端の態度に出でた者もあったけれど、多数はこれに連署した。菅家以外の公卿も多くは九条家に同情しなかった。この刃傷沙汰は朝廷としても捨て置かるるわけには行かなかったので、遂に子の尚経の方に責を帰し、その出仕を止められた。

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ロマン・ローラン
豊島与志雄訳

【ジャン・クリストフ 第十巻 新しき日】

 最初クリストフは、彼らの勇ましい熱誠と彼を彼らに結びつける共通の反感とを見てとったばかりだった。社交界にたいする蔑視べっしの念において、彼らは彼と意見が合わずにはいなかった。彼はグラチアが社交界を好んでるという理由で、それにたいして恨みを含んでいた。が彼らは彼よりもいっそう憎んでいた、社交界の用心深い精神を、無情無感覚を、妥協と道化とを、中途半端な物の言い方を、首鼠しゅそ 両端の思想を、あらゆる可能のうちの何一つをも選択せずに、中間を巧妙に往来する態度を。彼らは強健な独学者であって、あらゆる材料からでき上がっており、おのれをみがき上げるだけの手段も ひまもなかったので、生来の粗暴さと荒削りの田舎者めいたやや辛辣しんらつな調子とを、好んで大袈裟おおげさに現わしていた。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28