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酔眼朦朧
すいがんもうろう |
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作家
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作品
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魯迅 |
【阿Q正伝】
だが阿Qの今度の帰りは前とは大(おおい)に違っていた。確かにはなはだ驚異の値打があった。空の色が黒くなって来た時、彼は酔眼朦朧(すいがんもうろう)として、酒屋の門前に現われた。彼は櫃台(デスク)の側へ行って、腰の辺から伸した手に一杯握っていたのは銀と銅。櫃台(デスク)の上にざらりと置き、「現金だぞ、酒を持って来い」と言った。 |
田中英光 |
【野狐】
桂子がフラフラ立上るのに、Yさんが、「この女、生意気な」と組みついていかれて、奥さんに引きとめられ、奥に寝かされに連れてゆかれてしまった。私も酔眼朦朧(すいがんもうろう)として、その様子を眺めていたが、早く、桂子を連れださねばならぬと思い、彼女をせかして玄関に出たが、桂子はもはや、ひとりで草履(ぞうり)をはけないほど酔っている。
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夢野久作 |
【いなか、の、じけん】
やがて四十四五に見える駐在巡査が、ドテラがけで悠然と出て来た。一パイ飲んだらしく、赤い顔をピカピカ光らして、二人の前の椅子にドッカリと腰をかけると、酔眼朦朧とした身体(からだ)をグラグラさせながら、いろんな事を尋ねては帳面につけた。そのあげくにこう云った。
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甲賀三郎 |
【支倉事件】
「おい、いゝ加減にしろ」石子は定次郎の肩を掴まえた。 定次郎はひょろ/\しながら酔眼朦朧として、石子刑事の顔を見据たが、嬉しそうに叫んだ。 「やあ、旦那ですか」 |
中里介山 |
【大菩薩峠 流転の巻】
ここで、雲助はこの拾い物のお客をおろすと、宿の客引と、飯盛女(めしもりおんな)が、群がり来って袖をひっぱること、金魚の餌を争うが如し。道庵、眼をさまして、はじめて驚き、「しまった!」 酔眼朦朧(すいがんもうろう)として四方(あたり)を見廻したけれども、もう遅い。 「お泊りなさんし、丁字屋(ちょうじや)でございます」 壮大なる松本城天守閣上のパノラマ。あいにく、この日は曇天で、後ろのいわゆる日本アルプスの連峰は見えず、ただ有明山のみが背のびをしているように見えます。 |
林不忘 |
【釘抜藤吉捕物覚書 怪談抜地獄】
口まで出かかった謝罪の言辞(ことば)を引っ込まして、伝二郎は本能的に懐中に紙入れを探った。なかった。たしかに入れておいたはずの古渡唐桟(こわたりとうざん)の財布が影も形もないのである。さては、と思って透(す)かして見ると、酔眼朦朧(すいがんもうろう)たるかれの瞳に写ったのは、泥濘(ぬかるみ)を飛び越えて身軽に逃げて行く女の後姿であった。「泥棒どろぼう――。」 |
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