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酔歩蹣跚
すいほまんさん |
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作家
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作品
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太宰治 |
【春の枯葉 ―――一幕三場】
奥田、鍋を部屋のなかに持ち運び、障子(しょうじ)をしめる。障子に、奥田の、立って動いて、何やら食事の仕度をしている影法師が写る。ぼんやり、その奥田の影法師のうしろに、女の影法師が浮ぶ。その女の影法師は、じっと立ったまま動かぬ。外は夕闇(ゆうやみ)。 国民学校教師、野中弥一、酔歩蹣跚(すいほまんさん)の姿で、下手(しもて)より、庭へ登場。右手に一升瓶、すでに半分飲んで、残りの半分を持参という形。左手には、大きい平目(ひらめ)二まい縄でくくってぶらさげている。 |
林不忘 |
【口笛を吹く武士】
はっきりした記録が残っていないからわからないが、奥田孫太夫が庭で相手取った一人に、青竹の先に百目蝋燭をつけたのを、寝巻のえり頸へさして、酔歩蹣跚(すいほまんさん)と立ち向った大柄な武士があって、かなり腕の利く男だったという。これが狂太郎だったかもしれない。どうにもしようのないほど酔っていたというから、孫太夫と渡り合って別れてから、たやすく誰かに斬り伏せられたことだろう。
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中里介山 |
【大菩薩峠 お銀様の巻】
お銀様は飛び起きて梯子段を転げ落ちました。「おのれ、逃がしては」 神尾主膳は、さしおいた伯耆の安綱の刀を持って酔歩蹣跚(すいほまんさん)として、逃げて行くお銀様の後を追いかけました。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 京の夢おう坂の夢の巻】
「おや」と思って見直すと、提灯持をそこに置きはなして、自分はもう前へ進んで、橋の詰の方へ酔歩蹣跚(すいほまんさん)として行く姿が見える。その主(ぬし)も酔っているが、提灯の斎藤も少なからず酔っている。 消えてなくなったのは、山崎譲と、田中新兵衛と、机竜之助だけではない、斎藤一もいつしか、橋上橋畔から姿を消してしまって、橋の真中から再び歩を踏み直しているのは伊東甲子太郎ひとりだけです。この男だけが例の酔歩蹣跚(すいほまんさん)として、全く、いい心持で、踊るが如くに踏んでいるその足許(あしもと)だけは変らない。 |
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