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大慈大悲
だいじだいひ
作家
作品

芥川龍之介

【藪の中】

わたしはどうしても、ちからがなかつたのです。小刀さすがのどたててたり、やますそいけげたり、いろいろなこともしてましたが、れずにかうしてゐるかぎり、これも自慢じまんにはなりますまい。(さびしき微笑びせう)わたしのやうに腑甲斐ふがひないものは、 大慈大悲だいじだいひ觀世音菩薩くわんぜおんぼさつも、お見放みはなしなすつたものかもれません。しかしをつところしたわたしは、盜人ぬすびとごめにつたわたしは、一たいどうすればいのでせう? 一たいわたしは、――わたしは、――(突然とつぜんはげしき歔欷すすりなき

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上村松園

【無題抄】

 大いなるものゝ力にひかれゆく……まことに、私たち人間のあゆみゆく姿は、大いなる天地あめつちの神々、大慈大悲のみ仏から見られたならば、蟻のあるきゆく姿よりも哀れちいさなものなのに違いありません。

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和辻哲郎

【古寺巡礼】

 久しぶりに帰省して親兄弟の中で一夜を過ごしたが、今朝別れて汽車の中にいるとなんとなく哀愁に胸を閉ざされ、窓外のしめやかな五月雨がしみじみと心にしみ込んで来た。大慈大悲という言葉の妙味が思わず胸に浮かんでくる。

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津田左右吉

【史論の流行】

 英雄の人物を論ずといふか英雄は毀誉褒貶の集まる所尊崇と罵詈と交々至る。しかして時に応じ機に臨み執る所の政略殆ど人意の表に出て神智奇謀測るべからざるあり。しかして英雄のいずるは概ね国家擾乱の際、数百載の下にたちて之を想見す。目眩し胸轟く英雄の人物あにそれ知り易しとせんや。哲士の性情を論ずといふかその胸にはすなはち大慈大悲の霊泉を湛へその腔にはすなはち神妙壮美の世界観を包蔵す。乾坤を覆載し宇宙に徹底し区々の俗情を超絶してしかして悠々として青天の上に飛揚す。雲漢を えぐりて彼の帝郷に遊ぶなり。哲士の性情あにそれ議し易からんや。

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太宰治

【花吹雪】

怒った時には、縄切なわきれを振りまわしてエルサレムの宮の商人たちを打擲ちょうちゃくしたほどの人である。決して、色白の、やさ男ではない。やさ男どころか、或る神学者の説に依ると、筋骨たくましく堂々たる偉丈夫だったそうではないか。虫も殺さぬ大慈大悲のお 釈迦しゃかさまだって、そのお若い頃、耶輸陀羅やしゅだら姫という美しいお姫さまをお妃に迎えたいばかりに、恋敵の五百人の若者たちと武技をきそい、誰も引く事の出来ない剛弓で、七本の多羅樹と鉄の猪を射貫き、めでたく耶輸陀羅姫をお妃にお迎えなさったとかいう事も聞いている。七本の多羅樹と鉄の猪を射透すとは、まことに驚くべきお力である。

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泉鏡花

【春昼】

恋するものは、優柔しなやか御手みてすがりもしよう。御胸おんむねにもいだかれよう。はた迷える人は、緑のいらかあけ玉垣たまがき、金銀の柱、朱欄干しゅらんかん瑪瑙めのうきざはし花唐戸はなからど玉楼金殿ぎょくろうきんでんを空想して、鳳凰ほうおうの舞うたつ宮居みやいに、牡丹ぼたんに遊ぶ麒麟きりんを見ながら、獅子王ししおうの座に朝日影さす、桜の花をふすまとして、明月めいげつの如き真珠を枕に、勿体もったいなや、御添臥おんそいぶしを夢見るかも知れぬ。よしそれとても、 大慈大悲だいじだいひ観世音かんぜおんとがたまわぬ。

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倉田百三

【出家とその弟子】

まことのこころざしある人は、人のあしきことあらば、わが身のうえに受けてかなしみ、人のよきことあらば、わが身に受けてよろこび、なに事もわれ人へだてなく、あしかれとおもわず、人をそしらず、ねたまず、にくげ言わず、たよりなき人を、言葉のひとつもやわらかに、おとなしやかにひきたてて、少しのものもあいあいにほどこして、人をたすくるこころこそ、大慈大悲のきょうようにて そうらえ。(涙ぐむ)ほんとに涙がこぼれるような気がします。

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柳田國男

【日本の伝説】

 そこから余り遠くない等々力とどろき村の万福寺まんぷくじという寺にも、親鸞しんらん上人の御箸杉という大木が二本あって、それ故に、また杉の御坊とも呼んでおりましたが、二百年以上も前の火事に、その一本は焼け、残りの一本も後に枯れてしまいました。昔、親鸞がこの寺に来て滞在しいよいよ帰ろうという日に、出立でたちの膳の箸を取って、御堂の庭にさしました。阿弥陀如来あみだにょらい大慈大悲には、枯れた木も花が咲く。われわれ凡夫もそのお救いに洩れぬ証拠は、この通りといってさして行きましたが、果たせるかな、幾日もたたぬうちに、その箸次第に根をさし芽を吹いて、いつしか大木と茂り ひいでたというのであります。(和漢三才図会以下。東山梨郡等々力村)

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中里介山

【大菩薩峠 壬生と島原の巻】

「有難い地蔵様のお慈悲じゃ、涙もこぼれようわい。我々凡夫ぼんぷの涙は、蜆貝しじみがいに入れた水ほどのものじゃ、地蔵様の大慈大悲は大海の水よりも、まだまだ広大。それ我々凡夫は、ちょっとしたことにも悲しいの、嬉しいの、すぐ安っぽい涙じゃが、この無仏世界の 衆生しゅじょう罪障つみをごらんになる大菩薩の御涙というものは、どのくらいのものかはかり知れたものでない。南無延命地蔵大菩薩、おん、かかか、びさんまえい、そわか」

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吉川英治

【宮本武蔵 円明の巻】

「――うれしや、欣しや。ばばの善心を、日頃からあわれとおぼし給い、この大難へ、仮の御姿みすがたして、救いにお降り下されましたか。大慈大悲、南無、 観世音菩薩かんぜおんぼさつ――南無、観世音菩薩」

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Last updated : 2024/06/28