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大喝一声
だいかついっせい
作家
作品

泉鏡花

【茸の舞姫】

それを可恐こわくは思わぬが、この社司の一子に、時丸と云うのがあって、おなじ悪戯盛いたずらざかりであるから、ある時、大勢がいくさごっこの、番に当って、一子時丸が馬になった、しっ! ったやつがある。……で、廻廊をった。
 大喝一声、太鼓の皮の裂けた音して、
「無礼もの!」
 社務所を虎のごとく猛然としてあらわれたのは摂理の大人うしで。

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坂口安吾

【餅のタタリ】

ワタクシが昨夜夜半にふと目をさましたところ、誰やら庭の池の氷をわっている物音が耳につきました。そこで足音を殺し、シンバリ棒を外し、ガラリと戸をあけて大喝一声いたしましたところ、賊はとる物もとりあえず逃げ去りました。

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海野十三

【不沈軍艦の見本 ――金博士シリーズ・10――】

わしは正直者じゃ。やったことはやったというが、いくらいても、やらんことはやらぬわい。これ、もう我慢がまんが出来ぬぞ、この殺人訪問者め!」
 大喝一声だいかついっせい、金博士は相手のあごをぐわーンと一撃やっつけた。

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久生十蘭

【ノンシャラン道中記 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――】

鉄甲てつかぶとをかぶった水色羅紗の兵士が一人携帯電話機の受話器だけを持っておどり出し、大喝一声
止れアレテ!」と、縮みあがるような凄味すごみのある声でどなりつけた。

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井上円了

【迷信解】

もしその中に盗みしものあらば、幣束おのずから動かん』といいつつ、呪文じゅもんをとなえて祈りをなせり。主人その言葉に従い、家内のものを残らずその前をとおらしめしに、一小僕しょうぼくの過ぐるに及んで幣束たちまちにふるい動けり。衆人大いに驚き、恐れて神妙なりといえり。小僕ただちに腕をまくり、大喝一声して巫の胸をついて地にたおさしめたり。そのときに、巫の足の親指より、長き糸をもって幣束の柄に結びつけたることを見出だせり。

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佐々木味津三

【旗本退屈男 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男】

 けしかける白覆面の声にサッと黒い人山が動いた。刹那です! かかえていた槍の一本を、ぐいと突いて、ぐいと引いてわが手に奪った退屈男、斜めに体をとばして、側面へぬけるや、きっと構えて大喝一声――。
「推参者めッ。主水之介と存じながら、この三カ月傷に鼠泣きさせたいかッ」

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中里介山

【大菩薩峠 慢心和尚の巻】

槍を挟まれた近藤は、むなしく金剛力を絞り尽すことまた半時あまり、その時に拳骨和尚が大喝一声ともろともに椀を放すと、さしもの近藤が後ろに尻餅つき、槍は畳三四枚ほどの距離をあっちへ飛んだ。

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三遊亭圓朝
鈴木行三校訂・編纂

【菊模様皿山奇談】

僧「泥坊」
 と声をかける大喝一声だいかついっせい、ピイーンと曲者のきもへ響きます。
曲者「あっ」
 と云って逃げにかゝる所へ

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吉川英治

【三国志 望蜀の巻】

「おお、呉侯でおわすか。……実は、こうです。貴家の一門となって、共に曹操を亡ぼし得るなら、この岩斬れよ。然らずんば、この剣折れん――と天に念じて斬ったところ、この通り斬れました」
「ほ。……なるほど。では予も試みてみよう」
 孫権も、剣を抜いた。同じように天へ祈念をこらして、大喝一声すると、剣石ともに響いた。
「やっ……斬れた」
「オオ。斬れましたな」

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28