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太平無事
たいへいぶじ
作家
作品

森鴎外

【雁】

わたしどうしようかと思っていますの。帰ろうと云ったって、帰る内は無し、子供もあるし」
「なんだと。どうしようかと思っている。どうもしなくたって好いじゃないか。天下は太平無事だ」
「それはあなたは太平楽を言っていられますでしょう。わたしさえどうにかなってしまえばいのだから」

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芥川龍之介

【身のまはり】

僕は当時鎌倉の つじといふ処に住んでゐた。借家しやくやは或実業家の別荘の中に建つてゐたから、芭蕉ばせうのきさへぎつたり、広い池が見渡せたり、存外ぞんぐわい居心地のよい住居すまひだつた。が、八畳二間ふたま、六畳一間ひとま、四畳半二間、それに湯殿ゆどのや台所があつても、家賃は十八円を越えたことはなかつた。僕らはかういふ四畳半の一間にこの小さい長火鉢を据ゑ、太平無事 たいへいぶじに暮らしてゐた。あの借家しやくやも今では震災のために跡かたちもなくなつてゐることであらう。

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石川啄木

【雪中行 小樽より釧路まで】

東泉先生は其肥大の躯を白毛布の上にドシリと下して、心安げに本を見始める。先生に侍して、雪に埋れた北海道を横断する自分は宛然さながら腰巾着の如く、痩せて小さい躯を其横に据ゑて、衣嚢かくしから新聞を取出した。サテ太平無事な天下ではある。蔵逓両相が挂冠したといふ外に、広い世の中何一つ面白い事がない。

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寺田寅彦

【物理学実験の教授について】

こういう事を全く考えずに、ただ物理学教科書のみによって物理学を学んでいれば事柄は至極簡単で、太平無事であるが、 たび書物以外に踏みだして実験をするという事になり、始めてありのままの自然に面するとなると、誠に厄介な事になって来る。

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田中正造

【亡國に至るを知らざれば之れ即ち亡國の儀に付質問】

被害民の方は、是までも棒もステツキも持つて居なかつた。特に今度は能く世話人が指揮して、品行を方正にし靜肅を旨とせよと云ふ申渡までした位でございますから、煙管一本持つた者が無い位靜肅である。是に對して何である。勝鬨を揚げるとは何だ。
 今日政府は安閑として、太平樂を唱へて、日本は何時までも太平無事で居るやうな心持をして居る。是が心得が違ふといふのだ。一體如何いふ量見で居るのであるか、是が私の質問の要點でございます。

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国枝史郎

【名人地獄】

「世の縄墨じょうぼくそむいたが最後、それ異端者だ、切支丹キリシタンだ、やれ謀反人むほんにんだと大騒ぎをする」「うん、こいつはもっともだ」「今の浮世の有様は、太平無事でおめでたい」「結構ではないか。何が不平だ」「何らの昂奮をも許さない、何らの感激をも許さない、まして何らの革命をやだ」「お前は乱を望んでいるな?」「うん、そうだ、精神的のな。……おれは感激したいのだよ!」

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夢野久作

【ドグラ・マグラ】

但し念のためにお断りしておくが、その実験をやっている吾輩ばかりが、精神に異状の無い、太平無事のデクノ坊だと誤診されては迷惑だよ。

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Last updated : 2024/06/28