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多事多端
たじたたん |
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作家
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作品
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坂口安吾 |
【街はふるさと】
「とにかく、人間というものは人の噂をしたがるものですよ。他人の身の上は多事多端ですな。そして当人だけは、事もなく、わが身に限って何一つ面白いことが起らぬような気でいるものですよ。そのくせ、あらゆる人間が人の話題になるような奇妙な身の上をしているのですな」「なるほど」 まったく、人生はそんなものかも知れない。彼自身にしても、梶せつ子と関係をもつに至った一夜の出来事などは、人の絶好な話題になるものであろう。しかし当人には、さしたる事ではない。今後せつ子と同様な機会が起らなければ、あの一夜は、単に過去という無の流れに没し去っているにすぎない。似た機会が起るにしても、二つの夜は、その時に限って継続しているにすぎないのだ。せつ子のように多事多端な毎日をすごす人でも、当人の身には事もない一生であるかも知れない。 |
織田作之助 |
【俗臭】
千恵造の出奔を切っ掛けとして、児子家は以後多事多端であった。その一つ。権右衛門が統制違反で拘引された。沈没汽船引揚、及解体作業が完成して、愈々銅鉄品を売捌くに当って、闇取引をしたのである。鉄線一貫目三十銭以上に売るべからざるを一円四十銭に売ったその他いろ/\。「闇」をやらねば、幾らも儲からぬ事業だった。 |
蒲原有明 |
【龍土會の記】
この氣儘な會員たちは、かくして十年の歳月を經て、首尾よく龍土會の塒を飛び立つてしまつたのである。季節の折目が來たからである。明治三十五年から十年間といへば、明治革新史上、收獲の夕であると同時に更に播種の曉でもあつた多事多端な時代である。日露戰爭が丁度その眞中にはさまれてゐる。龍土會はこの十年間をからんで、動搖と刺戟、興奮と破壞、麻痺倦怠等、あらゆる變調の中に生息して來たことにわたくしは深い意義を感ずるのであるが、この會も前に述べたやうな事情で、初めから會名が定つてゐたのではなかつたのである。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 京の夢おう坂の夢の巻】
この女王様を父と会わせるに就いては、自分が介添となるべきことを最も有利なりと信ずるものがあればこそ、彼は女王を擁して、善は急げで、内外の多事多端なる責任の地位を
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吉川英治 |
【私本太平記 世の辻の帖】
こうして、夏から秋への、七、八、九月 は、またたくすぎ、いつか道誉の姿はまた、鎌倉の秋風と共に、いよいよ |
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