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高手小手
たかてこて
作家
作品

芥川龍之介

【きりしとほろ上人伝】

もとより「れぷろぼす」も日頃ならば、さうなくこの侍だちに組みとめられう筈もあるまじい。なれどもその夜は珍陀のゑひに前後も不覚のていぢやによつて、しばしがほどこそ多勢を相手に、組んづほぐれつ、み合うても居つたが、やがて足をふみすべらいて、思はずどうとまろんだれば、えたりやおうと侍だちは、いやが上にも折り重つて、怒り狂ふ「れぷろぼす」を高手小手くくり上げた。帝もことのていたらくを始終残らず御覧ごらうぜられ、
「恩をあだで返すにつくいやつめ。

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三遊亭圓朝
鈴木行三校訂編纂

【後の業平文治】

友之助という者が大伴蟠龍軒おおともばんりゅうけん賭碁かけごを打って負けましたので、女房お村をられた上に、百両の証文が三百両になっているという、友之助はくと聞いて大いに怒り、大伴に向って悪口あっこういたしましたので、蟠龍軒は友之助を取って押え、高手小手たかてこてに縛り上げて割下水わりげすいどぶへ打込んだという話を聞き、義憤むら/\と発して抑え難く、ついに蟠龍軒の道場へ踏込ふみこみ、一味加担の奴ばらを打殺し、

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佐藤垢石

【鯰】

「孔子、貴公なにしちょるか」といって、大声であたりへどなりまわした。そこへ、孔子の弟子の子路がやってきて、師の身辺を脅かすとは怪しからん奴、とばかりその大男を庭へ引き摺りだし、組打ちをはじめ、とうとう子路が勝って大地へ組み伏せ、高手小手に縛りあげてみたところ、こはそもいかにこれ大鰓魚也とあった。つまり、大鯰であったのである。

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国枝史郎

【加利福尼亜の宝島 (お伽冒険談)】

「自由に海を眺めたいというのか」
「はいさようでございます。高手小手ばくされた私、矢来をお取り払いくだされたとてとうてい逃げることは出来ませぬ」
「警護の者も沢山いる。逃げようとて逃がしはせぬ。

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中里介山

【大菩薩峠 農奴の巻】

 この捨札を前にして、高手小手にいましめられて、晒されている当の主は、知る人は知る、宇治山田の米友でありました。
 彼が、この数日前、長浜の夜を歩いた時に、思いもかけぬ捕手と、だんまりの一場を演じたことは、前冊(恐山の巻)の終りのところに見えている。

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坂口安吾

【明治開化 安吾捕物 その二 密室大犯罪】

「犯人をひッとらえて来ました」
 刑事巡査がどやどやとなだれこんだ。彼らは、芳男を高手小手にいましめて、自分らのまんなかにはさんで、引ったててきた。
 芳男は品川駅で汽車を待っているところを捕えられたのだという。
「どうして犯人と分りましたか」

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夢野久作

【白くれない】

はぎしろき右足をもたげて、踏絵のおもてに乗せむとせし一刹那、
「エイツ……」
 と一声、足軽の棒に遮り止められ、瞬く間に裲襠を剥ぎ取られて高手小手に縄をかけられつ。かゝしやま/\と悲鳴を揚げつゝ竹矢来の外へ引かれ行けば、並居る役人も其の後よりゾロ/\と引上げ行く模様さま、今日の調べはたゞ初花太夫一人の為めなりし体裁ていたらくなり。

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海野十三

【蠅男】

「神妙にせんか。こいつ奴が――」
 素早く飛びこんだ警官に、逆手をとられ、あわれ酔払いの帆村は、高手小手に縛りあげられてしまった。そのみじめな姿がこの歓楽街から小暗い横丁の方へ消えていくと、あとを見送った弥次馬たちはワッと手を叩いて囃したてた。

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佐々木味津三

【右門捕物帖 七七の橙】

 じつにいい気な男でした。少しばかりのてがらに得々として、名人右門をしかりしかり、息をころして内庭へ回りながら、子分べやらしいひと間の障子をそっとのぞいてみると、なるほどいるのです。すべてでは十四人。その十四人の駕籠かきどもが、ひとり残らず厳重なさるぐつわをかまされて、高手小手にくくされながら、まるで芋虫のようにごろごろと投げ込まれてあるのでした。

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吉川英治

【三国志 臣道の巻】

  二使の守りについていた郝萌かくほうは、張飛に出会って、馬上から組み落され、高手小手たかてこてに縛られて、捕虜になってしまった。

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Last updated : 2024/06/28