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卓上演説
たくじょうえんぜつ
作家
作品

夏目漱石

【それから】

この某は英語を喋舌しゃべる天才をもって自から任ずる男で、欠かさず英語会へ出席して、日本人と英語の会話を遣って、それから英語で卓上演説をするのを、何よりの楽みにしている。

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夏目漱石

【三四郎】

食後には卓上演説も何もなかった。ただ原口さんが、しきりに 九段くだんの上の銅像の悪口わるくちを言っていた。

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芥川龍之介

【上海游記】

余氏はにやにや笑いながら、次の局票を書き始めた。氏の日本語の達者な事は、かつて日支両国語の卓上演説か何かやって、お客の徳富蘇峰氏を感服させたとか云う位である。

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與謝野寛
與謝野晶子

【巴里より】

世界を家とし老いてます/\さかんなカアタア君は僕等の理想的老人だと告げたら、彼はエエス、エエスと云つて喜んで居た。彼は日本酒に酔ひなが卓上演説をなし、又明快な声で長篇の詩を朗詠した。

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小熊秀雄

【小熊秀雄全集-15- 小説】

出発の時の馬鹿騒ぎに較べて、×氏の帰朝歓迎会は出席者も少なく見るからに淋しい集りであつた、席上意地の悪い批評家△△氏が卓上演説のとき、クラブ代表×氏にむかつて
『噂に依りますと、パンクラブ日本代表は、余り御老体であつたため、風船を叩きつぶす気力もなく、会場で醜態を尽した揚句、やつとの思ひで叩きつぶしたといふことですが―』
 と無遠慮に質問するのであつた。

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マロ Malot
楠山正雄訳

【家なき子 SANS FAMILLE (上)】

このごちそうがけっして食後の卓上演説 たくじょうえんぜつ必要ひつようとするほどりっぱなものではなかったのはもちろんであるが、わたしは食事がすんだところで、いまがちょうど仲間なかまの者に二言三言いいわたす機会だと感じた。

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薄田泣菫

【茶話 大正十一(一九二二)年】

会はすぐに開かれた。滑稽作家と雄弁な政治家とは主賓として招かれた。主人側の肝煎きもいり役が言葉叮嚀に二人の卓上演説を促すと、マアク・トヱンはやをら ち上つて、持前の皮肉や諧謔やを取り交ぜて二十分ばかりしやべつた。

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寺田寅彦

【ベルリン大学(1909-1910)】

あんまり勉強し過ぎて神経を痛めているのではないかという気がした。図書の管理者などはどこでも学生には煙たがられると見えて、いつか同席したクナイペの席上における学生の卓上演説で冗談交じりにひどくこき下ろされていたが、当人は Sehrgemeiner Kerl などという尊称を捧げられても平気で一緒に騒いでいる面白い人であった。

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木下杢太郎

【パンの会の回想】

萱野が内田氏をつかまへてオスカア・ワイルドのエツセイのことを論ずる調子はわきから見ると少しきざであつたなどと書かれてゐる。
 何とかいふ遊人風の人が入つて来て、知る人もないのに卓上演説を始めるといふやうなこともあつたらしい。
 当時日本に来てゐた独逸のグラアザア氏が、自分たちは出席は出来ないがと言つて百合の花籠を贈つてよこした。

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Last updated : 2024/06/28