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嘆息嗟嘆
たんそくさたん
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作家
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作品
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【義民甚兵衛】
茂兵衛 それにな。何より悪いことは、松野様が落馬あそばした所が、地蔵堂の手前で、まぎれものう弦打村の境内じゃ。御奉行様もいわれるのじゃ。弦打村の者が先手にいたといい、松野どのの果てられたところが、村の境内といい、嫌疑がその方たちに懸るのを不祥と諦めいとこう仰せられるのじゃ。それでな、御奉行様内々の仰せでは、村中で評議して下手人を出すにおいては、褒美として、お救い米の高も、他所よりも心をつけてやるとこう仰せられるのじゃ。が、もし三日のうちに下手人が相知れぬにおいては、庄屋を初め名主、村年寄一統を下手人の代りに磔に上げるかも知れないぞ、とこう仰せられるのじゃ。
(嘆息嗟嘆の声高し)
茂兵衛 その上、詮議中その方たちに手錠を申し付けるという御沙汰で、この有様じゃ。(激しくしばたたく)それでな、わしが思うに、あの騒動中に誰の打った礫が、松野様に当ったか、打った当人にもわかるものじゃないと思う。が、御一統のうちで礫を打った心覚えのある人は五人や十人はあると思う。その中でな、村の難儀を救ってやろうと思うお人は、名乗って出てもらいたいんじゃ。
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Last updated : 2024/06/28