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単刀直入
たんとうちょくにゅう |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)】
王安石は云へり、「人の臣子となりては、当に四海九州の怨を避くべからず」と。彼をして答へしめば、将に云ふべし、「一門の栄華を計りては、天下の怨を避くべからず」と。然れども彼の刈りたるは、僅に彼の蒔きたるものの半ばに過ぎざりき。彼は其目的を行はむには、余りに其手段を選ばざりき。余りに輿論を重んぜざりき、余りに、単刀直入にすぎたりき。彼は、疲馬に鞭ちて、百尺の断崖を越えむと試みたり。而して、越え得べしと信じたりき。是豈、却て疲馬を死せしむるものたらざるなきを得むや。
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国木田独歩 |
【運命論者】
『 |
織田作之助 |
【四つの都】
庄造「いや、それには及ばん、将棋には勝たせて貰い、背中まで流して貰っては、些か恐縮だ」
庄平(だしぬけに)「うちの財産どれ位あります?」
庄造「お前は戦争に行ってから、単刀直入にものが言えるようになったな、以前は下を向いてぼそぼそ言うばかりだったが」
庄平「そうですか」
水道の栓に口をつけて、水をふくみ、うがいする。
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坂口安吾 |
【狼園】
ところが或る日、女画学生のズラリと並居る面前で、私は突然この弱々しい婦人から誰憚らぬ高声で極めて単刀直入に普通決して人前で言ふべきではない話を受けた。言ふまでもなく木曾野は東京に住んでゐたが、この日は何かの都合があつて静浦の別荘へ泊らなければならないと言ふのだが、汽車道の長さもやりきれないし別荘の寂しさも堪らないから、四五日滞在の心算で私に一緒に来てくれないかと言ふのであつた。
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牧野信一 |
【サクラの花びら】
「ベン、そんな意地悪るを云はずに、今日だけはお前、技手をやつて呉れ。実はだね、ヘンリーと俺に対するローランドの愛情を、今日こそは明白にしようと、約束してあるんだ。どちらを? と吾々は単刀直入に彼女に訊かうといふんだ。そして、その結果に依つて吾々の友情が新しい路に進まうといふ瀬戸際なんだ……」
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宮本百合子 |
【縫子】
口で冗談云いながら、英輔が眼では割合一心に見るのが縫子に感じられた。彼女は無関心そうに南京豆を鑵に戻し始めた。「英兄さん、どんな奥さんがよくて。――ハイカラな人?」 「ハハハハ単刀直入だね登美っぺは。――田舎っぺえは御免だよ」 「英語が話せたり、ピアノが弾けなくちゃいけないのね、そんなら……」 「ピアノなんかどうだっていいさ」 |
正岡容 |
【随筆 寄席囃子】
まさしくこの間の小勝のは、このまくらの単刀直入な換骨奪胎だったのである。それにしてもあのヌケヌケとした小勝にして、己れに「小勝」をなのった以上はよしやまくらのはしにしてもこうして先代の何かを継承しようと腐心していたことを思えば、伊藤痴遊氏もかつて憤っていられたごとくこの頃の人たちのただ何でも襲名さえすればいいというのとちがって、さすがに昔の芸人の心持ちといったようなものをゆかしく感じないわけにはゆかない。
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岸田國士 |
【泉】
泰平郷建設事務所の多彩なプログラムのなかに、毎夏、学界の権威を招聘して講演を聴くといふ項目があるので、今年も国際問題と生物学或は考古学といふ予定を立てた。さういふ方面の相談には、顧問の名に於て時には伯爵自身が進んで乗り出すこともある。それぞれ人選が終ると、さて事務所から交渉に行くのだが、××帝大名誉教授大沼博士には、偶然ある会合で顔を合せたので、伯爵は早速「かういふわけだが」と云つて、単刀直入に話を切り出し、「お宿は粗末ながら、わたくしどもの小屋に部屋がございますから……」とまで云つてしまつた。
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吉川英治 |
【私本太平記 八荒帖】
「長々お待たせ申しておざる。ただおひとりここへおいて、おかまいも申しあげず、いやどうも、ご無礼を」と、わび入った。 道誉はすでに、ごつんと来ている。そんな 「ではすぐ御病間へ案内してもらおうか」 「いや、主人よりは、御前てい、ただ、何とぞ、よしなに御披露を、とのことにござりまする」 |
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