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珍説贅議
ちんせつぜいぎ
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作家
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作品
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【二葉亭四迷の一生】 高橋健三は官報局の局長室に坐している時でも従五位勲何等の局長閣下でなくて一個の処士自恃庵主人であった。浜田は簡樸質素の学究、古川は卓落
不覊の逸民、陸は狷介気を吐く野客であった。而して玄関番は高田屋嘉兵衛、幸太夫に継いでの露国探険者たる一代の奇矯児寿安老人であった。局長といい課長といい属官というは職員録の紙の上の空名であって、堂々たる公衙はあたかも自大相下らざる書生放談の下宿屋の如く、局長閣下の左右一人として吏臭あるものはなく、煩瑣なる吏務を執るよりはむしろ詩を品し画を評し道徳を説き政治を談じ、大は世界の形勢より小は折花攀柳の韻事まで高談放論珍説
贅議を闘わすに日も足らずであった。
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Last updated : 2024/06/28