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茶番狂言
ちゃばんきょうげん
作家
作品

太宰治

【駈込み訴え】

あの人の一生の念願とした晴れの姿は、この老いぼれた驢馬にまたがり、とぼとぼ進むあわれな景観であったのか。私には、もはや、憐憫れんびん以外のものは感じられなくなりました。実に悲惨な、愚かしい茶番狂言を見ているような気がして、ああ、もう、この人も落目だ。一日生き延びれば、生き延びただけ、あさはかな醜態をさらすだけだ。花は、しぼまぬうちこそ、花である。美しい間に、 らなければならぬ。あの人を、一ばん愛しているのは私だ。

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佐々木味津

【右門捕物帖 身代わり花嫁】

髪は文金の高島田に結いあげ、召し物帯いっさいが女の服装でありながら、一枚下はあきらかに男性だったのです。
 早くもふたりの珍奇な秘密を看破するや、右門の口から鋭いののしりが発せられました。
「バカ者ッ。茶番狂言ではあるまいし、一生それで押し通すつもりじゃったか! ――さ、伝六ッ。 駕籠かごをとばして、金助と、おきのどくな八郎兵衛どのとやらを大急ぎにつれてまいれッ」

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エドガー・アラン・ポー

佐々木直次郎訳

【黄金虫】

その二時間がたってしまうと、我々は五フィートの深さに達したけれども、やはり宝などのあらわれて来そうな様子もなかった。一同はそれからちょっと休んだ。そして私はこの茶番狂言もいよいよおしまいになればいいがと思いはじめた。しかしルグランは、明らかにひどく面くらってはいたけれど、もの思わしげに額をぬぐうと、またふたたび鋤を取りはじめた。

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三好十郎

【廃墟(一幕)】

欣二 (それをたち切って)おいおい兄さんもういいじゃないか。わかったよ、わかりました! ヘヘ、なんでもねえ、後になりゃ、なんとでも言えらあ。後の祭って、そこいらの事だね。後の祭で茶番狂言が栄えているようなもんで――嘘だと思ったら、兄さんなんぞのお手のもんの新聞でもいい。去年の八月三日の新聞と、十月三日の新聞を引っぱり出して、くらべてごらんなさい。びっくりもんだ。昨日の淵は今日の瀬となるか、すると今日の瀬は明日の――なんになるんだい?

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北大路魯山人

【現代茶人批判】

茶界というもの紋切り型一通り覚え込むさえ三年や五年はかかるものである。しかもまだその上幇間ほうかん駄洒落だじゃれに富まざるべからざる要が加わるのである。この道、青山翁などは純に下手くそなものであった。そこへ行くと御殿山などはすこぶる堂に入り得意としたものである。茶会というもの笑話劇? 茶番狂言? 猿芝居? 漫才? なにがなにやらたわいもないことのようである。

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三文字屋金平

【為文学者経】

はるうら/\てふともあそぶやはな芳野山よしのやまたまさかづきばし、あきつきてら/\とたゞよへるうしほ絵島ゑのしままつさるなきをうらみ、厳冬げんとうには炬燵こたつおごり高櫓たかやぐら閉籠とぢこもり、盛夏せいかには蚊帳かや栄耀えいえう陣小屋ぢんごやとして、こめたはらよりぜに蟇口がまぐちよりいづ結構けつこうなかなに不足ふそく行倒ゆきだふれの 茶番ちやばん 狂言きやうげんする事かとノンキ太平楽たいへいらく云ふて、自作じさく小説せうせつ何十遍なんじつぺんずりとかの色表紙いろべうしけて売出うりだされ、二号にがう活字くわつじ広告くわうこく披露ひろうさるゝほかなんよくもなき気楽きらくまい、あツたら老先おひさきなが青年せいねん男女なんによ堕落だらくせしむる事はつゆおもはずして筆費ふでづひ紙費かみづひえ、たか大家たいかと云はれてたさに無暗むやみ原稿紙げんかうしきちらしては屑屋くづや忠義ちうぎつくすを手柄てがらとは心得こころえるお目出めでたき商売しやうばいなり。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28